新たな価値観を切り拓き、共有し、高めあう探究学習発表の祭典!〜十文字探究DAY2025レポート〜

新たな価値観を切り拓き、共有し、高めあう探究学習発表の祭典!〜十文字探究DAY2025レポート〜

1922年の創立以来、女性の「学びたい」という思いに応える教育で、多くの優秀な人材を育ててきた十文字中学校・高等学校。2023年度からは中高6年間を通じて体系的なプログラムに取り組む新たな探究学習をスタート。その探究学習成果を全校規模で発表する祭典「十文字探究DAY」を昨年1月に初開催し、学年を超えて学びを共有し、認め合い、刺激し合う場とした。2025年1月18日(土)に多くの保護者や教育関係者も参加して開催された、第2回目となる十文字探究DAYの様子をレポートする。

学校全体でさまざまな形式の「発表会」を実施

十文字探究DAYの今年のテーマは「道なき道を進め! 新たな価値観を切り開こう」。常識にとらわれない柔軟な思考で、社会をよりよい方向に導く力を培っていってほしいという願いが込められている。

この日は、午前は各学年の教室や2フロアの体育館で、学年ごとの探究学習テーマに合わせて個人やチームが口頭発表やポスター発表と質疑応答などを行い、発表者以外の生徒は興味を持ったテーマを自由に巡る。発表後には発表者のしおりに「GOOD JOBシール」を貼って「よかった」の気持ちを伝えることができる。

昼休みを挟んで、午後は講堂で各学年の代表に選ばれた個人・チームが参加するグランプリファイナルを開催。大学や企業から招かれた審査員や保護者、全1年生ら大勢の聴衆を前に発表する「グランプリファイナル」を実施する1日がかりのプログラムだ。1年生から5年生(中学1年生から高校2年生)までの生徒全員が、プレゼンテーター(発表者)となりキャスト(聴き手)となる。また、保護者や教育関係者もキャストとして自由に質疑応答やシールでの評価に参加できるなど、多くの人が年に一度の探究発表の祭典を楽しめるようになっている。

「生き方と大切にしていること」に焦点を絞った、ロールモデルの人物伝を多彩な手法で発表/1年生(中1)

新たな価値観を切り拓き、共有し、高めあう探究学習発表の祭典!〜十文字探究DAY2025レポート〜

他者の生き方について深く掘り下げ、自分の生き方について考える「ロールモデル」を探究課題とする1年生は、日本経済新聞の「私の履歴書」を題材にした人物伝を創作。作家や漫画家、デザイナー、企業創業者、社長など、さまざまな著名人の中から一人を選び、自分たちの見出した「その人の生き方・大切にしていること」を伝えるとともに、その生き方について感じたことや考えたこともあわせて発表した。例えば、作家の佐藤愛子氏について発表したチームからは「借金など大変なことがいっぱいの人生でも、最後に『面白かった』といえる強さを見習いたいと思いました」、ヤマト運輸元会長の小倉昌男氏について発表したチームからは「諦めずに前向きな生き方をし、定年後にも人のための新たな挑戦をするところがすごいと思いました」というようなコメントが挙がっていた。

教室前方スペースを存分に生かし、プロジェクターや机、小道具などを使い、芝居仕立てやテレビ番組仕立てなど、チームごとに「見せ方」「伝え方」にも創意工夫を凝らしており、時に笑いや歓声が上がるなど楽しい発表風景となっていた。

発表を終えたいくつかのチームに話を聞いた。

・場面ごとにコールや手拍子を入れて聴き手も一体となって盛り上がる演出で、吉野家の倒産危機を乗り越えた安倍修二氏について発表したチームのリーダー

「楽しい演出にしたいと考えていたところ、仲間からコールや手拍子を入れてみようというアイデアが出たので、みんなでやってみました。発表では盛り上がって嬉しかったです。練習時間はあまり取れなかったのですが、朝からチームで集まってがんばりました」

・登場人物のイラストをペープサート(紙人形劇)にして「語り」で、宅配便の生みの親であり社会福祉事業にも尽力したヤマト運輸元会長の小倉昌男氏について発表したチームのメンバー

「どうやって見せたら興味を持ってもらえるかを考えて、イラストで人形劇にすることを思いつきました」

「台詞の内容に集中して聴いてもらえるように、舞台上にはたくさん情報がない方がいいと考えて、私たちは机の下に隠れてスクリーンとイラストだけが見えるように工夫しました」

「登場人物の紙人形は、赤ちゃんからお年寄りまで5枚つくって、何歳くらいの時のことなのかをわかりやすくしました」

常識にとらわれない自由な発想で、企業からのミッションの解決法を提案/2年生(中2)

新たな価値観を切り拓き、共有し、高めあう探究学習発表の祭典!〜十文字探究DAY2025レポート〜

「企業インターン型探究」として、協力企業とともに未来をつくるプログラム「コーポレートアクセス」に取り組んでいる2年生は、企業から出されたミッションを解釈し、自分たちで考えた企画を発表した。協力企業は、イオンリテール、大和ハウス、テクマトリックス、日清製粉グループ、パナソニックエナジー、富士製薬工業、メニコンなどで、教室で各企業の研修や業務を体験するインターンシップも経験。さらに企業について詳しく調査し、打ち合わせを重ねて、新たな可能性を探る企画を練り上げた。例えば、メニコンのミッション「『文化の力』で世界をシンカさせるメニコンの新しい挑戦を提案せよ!」に取り組んだチームは、日本のサブカルチャーであるゲームやアニメ、アイドルに注目して、キャラクターを使った限定コラボコンタクトケースの提案や、ゲームやアニメのキャラクターのコスチュームプレイ(コスプレ)によく使われるカラーコンタクトのニーズについての調査などを発表した。

教室前面のスクリーンに写真やイラストを取り入れた企画書を映し出し、課題点、考察、課題解決のためのアイデアをわかりやすく表示。なかにはショートコント風の動画で、ポイントを楽しく伝える工夫をするチームなどもあった。

・家事の中でも負担が大きいと言われる風呂掃除を楽にするための方法を提案したグループに話を聞いた。

「既存の自動洗浄システムのついた風呂釜と、洗浄システムを遠隔操作できるアプリを組み合わせることで、家事の負担を少なくし、高齢者などにもやさしいしくみをつくりたいと考えました。発表のためのパワーポイント資料には、企業の公式サイトにある洗浄時の動画などを引用して、効果がわかりやすいように工夫をしました。自動洗浄システムは高額なので、一日あたりでの価格を計算して毎日の家事負担の便利さでコストパフォーマンスがアピールできるのではと考えました」

自ら見つけた社会課題について深く調べ、その解決方法を探る挑戦/3年生(中3)

新たな価値観を切り拓き、共有し、高めあう探究学習発表の祭典!〜十文字探究DAY2025レポート〜

3年生は「ソーシャルチャレンジ」として、生徒が自ら社会課題を見つけて、その解決についての取り組みをポスターで発表した。具体的な一人の「困っている人」に焦点を当てることで、その人が困っていることは何か、なぜそうした困難が生じるのか、どうしたらその人を助けることができるのかといった一つ一つの問いに対して、実際の社会状況に照らし合わせながら考えることを目指す。簡単には解決できない課題も多く、何度も行き詰まりながらも、生徒たちは自分なりの答えを導き出した。

4月から1年間かけてじっくりと取り組んだ力作揃いの探究発表で、自身の発表に力を入れるだけでなく、ほかの生徒のポスターにも熱心に見入る姿が多くあった。

ポスター発表を行った生徒たちのうち何名かに話を聞いた。

・子どもたちのための施設で働く職員と子どもを助けたいと考えた、M.O.さん

「家の近くに児童福祉施設があったので、そうした施設で困っている人はいないかを調べたところ、人手不足で職員さんが困り、子どもたちも十分なケアを受けられずに困っていることを知りました。そこで人手不足の解消のために、ポイント制で景品がもらえるようにして、継続的に参加してもらえるボランティアを募集する方法を考えました。SNSなどを通じて呼びかけることで、今までそうした施設が困っていることを知らなかった人が参加するきっかけになるのではないかと思いました。ポスター発表では、順序よく説明できる力がついたと思いました。また、『どういう景品を提供するのか』という質問があったり、『景品だけでなく、施設のイベントへの参加など体験を提供するのもいいと思う』という提案があったりして、より具体的に考えてみるきっかけをもらうことができました。ほかの人の発表を見ていると、髪の毛のケアなどすごく身近なテーマもあって、『そんな着眼点もあるんだ』とおもしろかったです」

・能登半島の被災地で困っている人のために復興を進めたいと考えた、Y.O.さん

「能登半島の被害を知って、何かできることがあるかなと思いました。ボランティアの人は基本無償参加ですが、記念品があるとボランティアにいってみたいと思う人がでるかもしれないと思いました。発表では、記念品をふるさと納税にも使って復興資金に充てるなど、ポスターに書いたこと以外も話すことができました。ポスター発表では、つまずいたりしたので、もっとすらすら発表できるようになりたいです。能登半島の復興のために今の自分にできることとして、パンフレットなどを作って現状を伝えていきたいです」

日常生活を見つめ直し、実際の商品化を想定したリアルな商品開発に取り組む/リベラルアーツ・特選コース4年生(高1)

4年生からは高校で設定されているコースによって探究課題が異なっている。3コースのうちリベラルアーツコースと特選コースの生徒は「商品開発型探究」、自己発信コースの生徒は高校3年間をかけて「マイプロジェクト探究」に取り組む。

「商品開発型探究」は、日常生活で感じる「あったらいいな」という思いをきっかけに、起業につながるようなリアリティのある商品開発が課題だ。そのために、アイデアを出して話し合うだけでなく、顧客インタビューや競合商品・サービスの調査といったデータ収集も必須だ。

すでに多くのモノやサービスがあふれる現代の社会ではあるものの、例えば寝坊を予防する目覚ましや手軽な掃除用品、生理の不快感を軽減するアイテムなど、高校生が日常の課題を解決するための「欲しいモノ」「欲しいサービス」が多種多様に展開された。

また、商品やサービスについてのイメージも具体的で、アプリであればユーザーインターフェース(UI)のデザイン案に広告収入のための広告欄も設けるなど、普段自分たちが利用しているサービスを反映させていた。

将来の進路選択にもつながるテーマを探し、掘り下げていく/リベラルアーツ・特選コース5年生(高2)

新たな価値観を切り拓き、共有し、高めあう探究学習発表の祭典!〜十文字探究DAY2025レポート〜

リベラルアーツ・特選コース5年生の探究課題は、自分の興味・関心のあるテーマは何かを探すところからスタートする「マイテーマ探究」。まずはなぜそのテーマを選んだのかという探究背景を明確にし、次に仮説を立て、調査計画を練り、調査を実施し、その結果をもとに考察をし、最後に今後の課題へとつなげていく。1年間でテーマ探しから調査・考察等のすべてをやり遂げるため、最初のテーマ探しに悩む生徒も多いという。

自分の経験に基づく身近な話題から、学校の授業などをきっかけに興味を持った国際社会の課題など、非常に幅広くバラエティ豊かなテーマが揃った。

生徒や保護者に向けて活発にポスター発表を行っていた生徒に話を聞いた。

・生徒だけではなく多くの保護者も真剣に見入っていた「共通テスト・国語と思考力」についてポスター発表をしたA.S.さん

「きっかけは入試改革についての本で『共通テストの国語のテストでは思考力が測れないのではないか』という問題提起を目にして興味を持ったことです。調査のために共通テストを、バカロレア(国際的な大学入学資格のテスト)や東京大学の入学テストと、出題形式や採点・評価方法、勉強方法などにわたって比較しました。難しいテーマなので、論文をはじめとするたくさんの参考文献を読んで調査方法を考えましたが、手探りのところが多くありました。正直、ポスター発表で答えられないような難しい質問があったらどうしようかとハラハラしました」

・自身の競泳選手の経験からメンタルトレーニングをテーマに選んだというS.W.さん

「私は子どものころから競泳選手として大会などにも参加していて、大きな大会のあとにはモチベーションが低下するなど、メンタル面で苦労をしていました。そこで、スポーツ選手のバーンアウト(燃え尽き症候群)について興味を持ち、さらにスポーツ選手のメンタルトレーニングに必要なことを調べました。今回の探究では私は燃え尽き症候群にならない方法をテーマにしていましたが、ポスター発表後に『燃え尽き症候群になった選手の回復についても知りたいね』と言われて、このテーマはもっと広げていけるなと気づきました。また、調査の過程でオリンピック選手のメンタルトレーニング方法をたくさん知ることができたので、よさそうなものをぜひ自分の競技生活に取り入れていきたいと思いました」

3年間かけて自分自身が深く追求したいテーマに取り組む/自己発信コース4・5年生(高1・2)

新たな価値観を切り拓き、共有し、高めあう探究学習発表の祭典!〜十文字探究DAY2025レポート〜

自己発信コースの4、5年生は、高校3年間をかけて自分自身が深く追求したいテーマに取り組む「マイプロジェクト探究」の途中経過を発表。マイプロジェクト探究では、文献調査や論文調査だけでとどまらず、インタビューやアンケート、観察、実験、試作品づくりなど、実践的な探究活動に取り組むことが特徴だ。自分たちの探究をプロジェクト化し、主体的に発信していくことで、世の中に新しい価値を生み出すことを大きな目標として活動している。

4年生は自分の興味・関心のあるテーマについて文献調査などを行い、問いと仮説を立て、5年生は自分の問いをプロジェクトにし、アンケートやインタビューといった実践的な活動を進める。これらの探究活動は、最終学年の6年生で日本語および英語の論文にまとめ、その成果を発表する予定だ。

・虐待をしてしまう親と虐待を受けた子どもが、正常な親子関係に戻るための取り組みについてポスター発表を行った4年生のN.S.さん


「今日は保護者の方にも見ていただき質問や感想などもたくさんもらいました。子育てをした親視点での『こんなことが大切だと思う』『これから先はこういう点を気にした方がいい』といった意見は、自分では思いもつかなかったことばかりで、クラス発表では気づかなかったことがわかってよかったです。今回の発表でフィンランドの事例に注目したのは、子どもが守られている国として知られているためで、なぜそうなのか疑問に思って制度を調べました。虐待という重いテーマに取り組んでいるので、あまり感情移入しすぎて辛くならないように、第三者的な視点で考えられるように心がけました。ポスターをつくるうえで工夫したことは、探究背景から考察までの軸がぶれないように構成することです。軸がぶれると見ている人に伝わりにくくなるため、作成中も何度も見直すことを大切にしました」

真剣に学んだ成果を人前で堂々と発表する姿に感動/保護者のコメント

十文字探究DAYには多くの保護者も聴衆として参加。教室や体育館での発表では、積極的に質問をしたり感想を述べたりするなど、単なる子どもの学習参観を超えて、探究発表そのものを楽しむ姿が印象的だった。また、父母だけではなく在校生の兄弟姉妹である大学生や小学生の姿もあった。中学生の母と、中学生の父母と、高校生の父母と小学生の弟からも一言コメントをもらった。

・中学生の母
「娘はプレゼンが得意で、声もよく通ります。興味を持つ分野がはっきりしており、好き嫌いが明確です。だからこそ、高校の『自己発信コース』のように、得意な分野をさらに伸ばせる環境に魅力を感じています」

・中学生の父母
母親「3年生の娘の発表を見て、社会のことに目を向けて、問題点や解決策までちゃんと考えているのを見て驚きました。普段、家で見ている姿とは違って、すごく立派だなと感動しました。来てよかったです」

父親「ポスターもよくできていて、人前でもちゃんと説明ができていてよかったと思いました。何よりこの取り組み自体が非常にいいですよね。中学生や高校生の生徒たちが、何か問題を見つけて、それを頭の中で考えているだけではなく、こうして文字にしてまとめて形にして発表する機会まであるのが、すばらしいと思います」

・高校生の父母と小学生の弟

母親「中学生や高校生の観点できちんとストーリーを組み立てた発表をしていて、若いうちからそういう勉強ができるのはすごくいい取り組みだと思いました」

父親「みんなしっかり考えていて、自分なりの結論や答えまで出しているのがすごいと思いました。また、そうした成果を自分から発信する機会があるのもいいですね」

弟「みんな自分でいろいろ考えていてすごいと思いました」

大学や企業からも審査員が参加して行われたファイナル

新たな価値観を切り拓き、共有し、高めあう探究学習発表の祭典!〜十文字探究DAY2025レポート〜

午後から講堂で行われたグランプリファイナルでは、1年生全員をふくむ生徒や保護者、教員、ゲスト審査員など多くの聴衆が集まった。

ゲスト審査委員の顔ぶれは、日本女子大学理学部科学生命学科教授の永田典子さん、成城大学専任講師・スポーツとジェンダー平等国際研究センター副センター長の野口亜弥さん、株式会社教育と探求社首都圏学校部エリアマネージャーの井上舞子さん、ハーゲンダッツジャパン株式会社副社長の大谷弘子さん、りそな銀行板橋支店支店長の斧田全弘さん。

まず校長の横尾康治先生が挨拶。今年のテーマ「道なき道を進め」について触れ、誰も通ったことのない道、考えたことのない尖った考えを持つことの意義を語り、その尖った考えを、きれいに整えていくのが探究活動の魅力だと語った。

プレゼンテーションでは、1年生から5年生までの各学年2チーム・2名ずつの代表と、自己発信コース代表2名が壇上で発表。1つの発表が終わるごとに、会場全体からの大きな拍手が沸き、ゲスト審査員からのコメントが添えられた。

すべての発表終了後にゲスト審査員からの総評があり、発表者全員の努力を讃え、今後に期待する温かな言葉が贈られ、この日の発表はすべて終了した。

審査員からの総評は以下の通り。

「皆さんのこだわりの詰まった発表を聴くことができました。探究する過程によってたくさんの引き出しができると、自分のためにも人のためにも役立てることができます。そういう積み重ねができることが探究のおもしろさです。探究をしてきたプロセスを大事にしたため、必要な機会に取り出しながら人生を歩んでいってください」(井上さん)

「探究学習ではぜひ外に出て、ヒアリングや調査を活用して知らない世界を知ってほしいと思います。皆さんが毎日生きている世界はじつはとても小さいので、外の世界でアンケートをとってみたり、インタビューをしたりしてほしい。恥ずかしいとか無視されるかもしれないという不安があるかもしれませんが、勇気を出して挑戦してほしい。外の世界の力を、研究に使っていってください」(大谷さん)

「日本の場合、学問は学問、産業は産業と別物になっていますが、それらが統合した十文字学園の取り組みはすばらしいものだと思います。今日発表のあった企画はすぐに商品化できそうなものもあるのではないかと感じました。引き続き頑張って研究をしていってください。社会に出た時にいつかこの発表の経験も役にたつと思うので、がんばってください」(斧田さん)

「皆さんはこうした探究活動や発表が当たり前のものに思っているかもしれませんが、こんなにみんなが楽しんで参加できる発表会はめったにないすばらしいものです。皆さんはいい教育を受けているんだと自信を持ってほしいですね。大学受験や就活の際にもしかしたら自分には何もないと絶望してしまうことがあるかもしれませんが、皆さんは人生を豊かに生きるための下地はちゃんとできているんです。今、皆さんが興味を持って探究したことは、絶対に人生の役に立ちます。これからも楽しんで探究を続けていってください」(永田さん)

「私も十文字高校出身で20年前にここで卒業式をしました。私は探究が好きで、何にでも疑問を持って調べていましたが、この学校では何を調べても誰にも『ダメだ』と言われませんでした。好きなことを仲間とともに自由に探究できました。探究は自分らしくいられる時で、自分らしさを見つけることでもあります。疑問に思ったこと、やりたいことを突き詰め、楽しんで自分探しをやっていってください」(野口さん)