国際高専の1年生が参加したチームが「高専インカレチャレンジ」で最優秀賞に輝く
写真=最優秀賞受賞について語る国際高専2年の水澤諒也さん
全国の高専生が独創的なビジネスアイデアを競う「高専インカレチャレンジ第3弾」の最終審査会が、2023年3月30日にSMBC日興証券株式会社とANAホールディングスにより開催され、国際高等専門学校(国際高専)2年生の水澤諒也さんが参加した「アップサイクル×教育」チームが最優秀賞に輝いた。
このコンテストは、企業が抱える課題を、異高専チームのビジネスアイデアで解決するコンテストであり、第3弾目の今回はANAホールディングスが課題提供企業となった。全国の高専からオンラインで集まった17名の高専生が参加し、5チームに分かれて課題解決に取り組んだ。私立高専からの参加者は水澤さん1人だった。
ANAホールディングスが出題した課題は、「ANAのアセットを活かしたメタバース世界(ゲーム含む)を考えてみよう!」と「ANAグループが使っているモノのアップサイクルを考えてみよう!」の2つ。水澤さんが参加したチームは、秋田高専、国際高専、石川高専、新居浜高専の4校から構成されており、議論の末、アップサイクルをテーマにした小中学生向けのパズルゲームなどを考案した。アップサイクルとは廃棄予定の物に新たな付加価値を与えて生まれ変わらせること。
最終審査会では、ANAグループの社員を中心に構成される審査員団に対して、チームは力のこもったプレゼンテーションを実施し、熱のこもった質疑応答が行われた。そして、アップサイクル自体の認知度向上を課題として捉え、小中学生を対象としたゲーム型教育を実施することで解決を図る点が高く評価され、最優秀賞に選ばれた。
水澤さんは受賞当時1年生であったが、チームの一員として高専インカレチャレンジで最優秀賞を受賞するという快挙を達成した。
【水澤さんのコメント】
ANAでは「アップサイクル」として、航空機のシートカバーをスリッパに作り変えたり、整備士の制服をバッグに作り変えたり、といった取り組みが行われています。水澤さんのチームは「アップサイクル」という言葉自体があまり知られていないことを課題として考え、授業の一環でアップサイクルについて学ぶ仕組みを発案しました。
まず小中学生にゲームを通じて「アップサイクル」に興味を持ってもらえるよう,捨てられたゴミの形をしたブロックが落ちてくる「テトリス」をチームで制作。授業の導入として使用することを提案しました。さらに集中してゲームに取り組めるよう、課題をクリアするごとにアワードとしてANAのマイルが貯まる仕組みも考えました。同行する保護者が自身の航空券を購入することで、ANAに利益をもたらします。
次にゲームを通じて「アップサイクル」に興味を持ってもらった後、体験型授業として、学校で使えるものづくり体験も提案しました。コーヒー滓を再利用して学校で使える消臭剤を子どもたちに体験してもらうといった内容です。
チームは2、3日で1回のペースで、オンラインで議論し合ったそうです。メンバーは学年も違えば、学ぶ分野も異なりました。プログラム作成が得意の学生もいれば、水澤さんのように日常的に英語を使い、PCを使いスケジュール管理を行う学生など、さまざまです。今回の最優秀賞受賞は、それぞれの学生が持つ強みと知識の共有により、達成されたものでした。