志望校選びに欠かせない 学校説明会の活用法とは
私立中を目指す家庭の中には、志望校決定に悩む保護者も多いはず。模試で合格の可能性を判断するだけでなく、子どもに合うかどうか調べるには各校のイベント参加が欠かせない。その活用法を紹介する。
公立にはない私立の特色の一つが、創立以来受け継がれている建学の精神だ。その下で独自の教育が行われているため、各校で校風が大きく変わってくる。数多くの私立校の中から学校を選ぶには、綿密な下調べが必要だ。ホームページや学校案内など、直接足を運ばなくても学校の情報は簡単に手に入るが、間接的に得た情報だけで学校を選ぶのは性急だ。6年間、10代の大切な時間を過ごすことになる学校なので、いろんな学校をみてまわり、子どもに合うかどうかを判断してほしい。
学校の特徴が分かるイベントの代表的なものが説明会だ。
説明会では、学校長が教育方針を、教員が学校生活などについて話すのが一般的だ。「学校の強みはどこか」「どういう観点から生徒を育てているのか」「生徒を成長させるためにどんな工夫をしているのか」など、独自の取り組みを紹介している。1回に参加者が1000人も集まる大規模な説明会から、少人数制でアットホームな雰囲気で行われるミニ説明会まで、さまざまだ。
最近のトレンドが、学校長と直接話ができるイベントだ。また、在校生やその保護者、卒業生が壇上に立つ説明会も増えている。在校生が案内するキャンパスツアーや在校生の英語スピーチなど、在校生と交流できるイベントは、先生には質問しにくいことや普段の生活のことなども気軽に聞きやすい雰囲気だ。在校生の保護者には、実際に学校に通わせたときの視点で質問に応えてもらえるので、参考になるだろう。
グローバル教育やICT教育、理数教育など、毎回テーマを変えて説明会を実施している学校には、リピーターも多いようだ。同じ学校の説明会に行くことによって、新たな発見があることもあるが、一つの学校の説明会に何度も行くより、いろんな学校を見て回ったほうがいい。そうして学校を比較することで、第一志望校の長所が際立つこともあれば、逆にウィークポイントが見つかる場合もあるからだ。
9月以降に増えてくるのが入試説明会だ。入試の概要や入試問題の傾向と対策など、入試関連の最新情報について知ることができる。適性検査型入試や思考力入試など多様な入試を取り入れる学校が増える中、そうした入試向けの説明会も目立つ。
一方、受験生向けのイベントにはオープンキャンパスや体験入学、入試体験などがある。オープンキャンパスには各教科の授業や英会話、クラブ活動など、受験生が参加できる多彩なイベントがあり、楽しみながら学校を体験できる。人気のイベントはすぐ満席になるが、在校生と触れ合いながら学校の雰囲気を感じられるいい機会だ。1学期から夏休みにかけて開催している学校が多い。
秋から冬にかけて行われる入試体験は、実際に試験を受ける教室で、入試をともに受けることになる可能性がある受験生と過去問などに挑戦する。別室では保護者向けの説明会を実施している。入試が大きく変わる場合、変更点などを詳しく聞くことができる。
関西圏では、多くの学校でプレテストを実施しており、入試の力試しに活用されている。過去問ではなく、本番さながらの試験問題にチャレンジでき、合格や特別奨学生の可能性も判定してもらえる。その後で開催される解説会に参加することで、自分の弱点を知り、万全の体制で入試に臨める。
説明会やオープンキャンパスなどの各種イベントは、校内を見学できるチャンスでもある。見学する際、どのようなところに目配りすればいいのだろう。ある塾関係者がこう話す。
「授業見学では、生徒に覇気があるかどうかなど、実際に見学しないと分からない生徒の様子に注目してください。レベルが高い人気校でも、保護者や学校からの期待に生徒たちがプレッシャーを感じていて、暗い印象を受ける学校があります」
校内の掲示物も、学校の教育方針や特色を知るポイントの一つだ。例えば、廊下に難関大の合格者の氏名や、定期試験の成績を貼りだしている学校と、貼紙が一切ない学校では、学力を伸ばすための方針が大きく異なる。
また、校舎に全国大会出場などの垂れ幕を掲げている学校は、一丸となって生徒のクラブ活動を応援している雰囲気がある。高校生を対象とした科学分野のオリンピックをはじめ、学外で開催されているコンテストのポスターが貼ってある場合、教員が生徒たちのチャレンジを積極的に後押ししている様子がうかがえる。この他にも、校内を歩いてみることで随所に学校の特徴が見られる。気になったことは個別相談などで直接聞いてみるといいだろう。
最近の説明会は人気校を中心に予約制になっていることが多い。申し込み開始直後に満席になる学校も多いので、事前にホームページなどで開始日をチェックしてほしい。また、学校の基本的な情報は、説明会に参加する前にホームページや学校案内で調べておこう。その上で説明会に参加すると、学校への理解が深まるはずだ。
両親で説明会に参加する場合、同じように見学していても、父親と母親とでは学校に対する印象が大きく異なることがある。志望校を決めるときに意見が割れないように、学校に求めていることや見学して感じたことなどを話し合い、得た情報を整理しておくことが大切だ。