2021年首都圏私立中学入試速報

中学・高校情報 大野 香代子
2021年首都圏私立中学入試速報

コロナ禍で受験生が増加
上位校では厳しい入試が続き、中堅校では人気アップ校が続出

首都圏では、1月に埼玉と千葉の私立中学入試が始まり、2月1日からは東京と神奈川で入試が行われている。コロナ禍での入試に、受験生と保護者は緊張を強いられながらも果敢に挑んでいる。

大手中学受験塾の日能研によれば、今年の中学受験生数は昨年より増加し、受験率もアップしたという。全体的に厳しさが増しているのだ。昨年、コロナウイルス蔓延のため、全国一斉に学校が休校になった。私立校ではICT環境を整え、オンラインで早期から授業を開始するなど、できるかぎり普段と同じ教育が行えるように努めた。その教育姿勢が保護者に評価され、中学受験人気が高まっている。

2月前半日程(1日~3日)の入試を中心に、各校の志願者状況を見てみよう。トップ進学校では、志願者が減った学校が多かった。開成、麻布、武蔵、栄光学園、聖光学院、女子学院、白百合学園、豊島岡女子学園(2回目)、雙葉、洗足学園、広尾学園など。麻布と聖光学院は100人以上の減少だった。増加したのは駒場東邦、海城、桜蔭、フェリス女学院などで少なめだ。全体的に安全志向が強く、志望校に少し学力が不足している受験生が、チャレンジ受験を敬遠したようだ。しかし、志願者が減っても学力上位生が多く受験しているため少数精鋭の厳しい入試となり、難度が下がる学校は少ないとみられている。

大学付属校はどうだろう。早慶の付属校では早稲田大高等学院、早稲田実業、進学付属校の早稲田、慶應義塾普通部、慶應義塾湘南藤沢が減少だった。増加したのは慶應義塾中等部だけだ。

MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)の付属校では、明治大付中野、明治大付明治、明治大付中野八王子、法政大、中央大付横浜は増加。青山学院、立教池袋、香蘭女学校、立教女学院、中央大付、青山学院横浜英和、法政大第二は減少した。また、日本女子大付が3年連続で増加した。

今年から男女共学に移行する芝浦工業大付は、志願者が大きく増えている。男子だけでなく理系志望の女子も多く集まったようだ。また、日本大の付属校では人気が継続している。日本大第一、日本大第二、日本大第三、日本大豊山、日本大豊山女子、目黒日本大で増加している。

そのほか上位校で志願者が増加したのは、高輪、獨協、サレジオ学院、鴎友学園女子、山脇学園、東京農業大第一、神奈川大付、桐蔭学園、森村学園などだ。獨協や神奈川大付は、新設の午後入試に多くの受験生が集まった。

逆に、人気校でも志願者が減った学校もみられる。暁星、攻玉社、巣鴨、成城、世田谷学園、東京都市大付、吉祥女子、共立女子、恵泉女学園、田園調布学園、東京女学館、東洋英和女学院、国学院大久我山、帝京大、東京都市大等々力、東洋大京北などだ。いずれも最近の志願者増の反動があらわれたものだが、意外な狙い目校になったようだ。吉祥女子は、近年の難化に加え、今年から3回実施していた入試を2回に減らしたため、受験生に敬遠されたとみられる。

さらに、中堅校で志願者が増加した学校が目立つ。京華、聖学院、実践女子学園、昭和女子大付昭和、女子美術大付、神奈川学園、カリタス女子、駒込、桜丘、品川翔英、淑徳巣鴨、青稜、東京電機大、宝仙学園、明星学園、明治学院、安田学園、立正大付立正、自修館、横浜翠陵、横浜創英などだ。「コロナ禍の対応で私立校の人気がアップし、今まで受験を考えていなかった家庭でも私立中学への関心が高まった。比較的入りやすく面倒見の良い学校に人気が集まったようだ」と塾関係者が話す。中学受験模試を一度も受けずに、いきなり入試に挑戦した子どももいるという。

一方、募集を停止していた村田女子が広尾学園小石川に名称を変更し、共学校として募集を開始した。広尾学園と同様の教育が行われるため人気が高まり、新規募集校としては異例ともいえるほど多くの志願者を集めている。その結果厳しい入試となり、難度アップは確実とみられている。