金沢工業大学情報工学科4年の間山美和さんが「遠距離恋愛支援システム 心拍と体温でつながる抱き枕」を開発
― 離れている相手といつでも安心感やつながり感を得られる ―
金沢工業大学工学部情報工学科4年の間山美和さん(研究指導教員 中沢実教授)はこのたび「遠距離恋愛支援システム 心拍と体温でつながる抱き枕」のプロトタイプを開発した。離れている相手といつでも安心感やつながり感を得られる新たな手法として注目されそうだ。
就職や転勤などで遠距離恋愛になった場合、離れている間は電話やチャットでコミュニケーションをとることが多くなる。相手と時間を合わせることが難しいため、リアルタイムではない非同期コミュニケーションが増えるほか、ぬくもりや存在といった非言語コミュニケーションをとることも難しい、といった課題がある。
先行研究としては株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の音声通信機用ホルダ付きのクッション型メディア「Hugvie(ハグビー)」などがあるが、同期型コミュニケーションにより相手の存在を感じるものが多く、ふと寂しくなったり、電話ができないときの支援が少ないのが現状である。
このたび間山美和さんが提案した“遠距離恋愛支援システム 心拍と体温でつながる抱き枕”「HALOP」は、頻繁に電話ができなくても相手とのつながりを感じ、離れているという不安感を払拭する目的で開発された。抱き枕の中に体温を再現する電気ヒーターと相手の心拍音が聞こえるスマートフォンを入れて安心感やつながり感を得ることができるもので、ふと寂しくなったときに、離れている相手を非同期でいつでも感じることが可能である。
相手の心拍音は、腕時計型のウェアラブル端末「Fitbit」を通じて心拍数を計測し取得する。FitbitとスマートフォンをBluetoothで繋ぎ、サーバーに記録。Fitbit APIにより秒刻みの心拍数が取得可能である。心拍音は心拍の音に似た音を心拍数に合わせてWebアプリで再現し、GitHub Pagesにアップする。抱き枕利用者は、スマートフォンを抱き枕のポケットに入れ使用する。電気ヒーターで体温と同じぐらいに温かい抱き枕から相手の心拍音が聞こえるため、「会えなくて寂しい」「電話できないし寂しい」といった不安が非同期で払拭できる。
間山さんは「遠距離恋愛では寂しさや不安は個人の努力で乗り越えるしかないので、支援するシステムを提案しました。心拍情報さえ分かれば芸能人の心拍の再現も可能です」と語っている。
21名に行ったアンケートでも「遠距離恋愛で寂しいと思ったときにこういうものがあったらいいと思いますか?」で95%が「思う」「少し思う」と回答。また、心拍と体温を利用するというアプローチに対しても100%が「良い」「まあ良い」という回答があり、コンセプトの需要は概ね高いという結果となっている。