金沢工業大学が「コード化点字ブロックを活用したAI音声誘導サービス」の社会実装研究を開始 ~オープンデータ化し、金沢発の事業として他の自治体での普及も目指す
金沢工業大学工学部情報工学科 松井くにお教授(専門:人工知能)の研究開発チームは、このたび「コード化点字ブロックを活用したAI音声誘導サービス」の社会実装に向けた取り組みを開始した。視覚障がい者の歩行課題の軽減に加え、観光客や外国人も観光情報や災害時の避難情報などが取得できるインフラ整備を目指す。2019年度の「金沢市市民生活AI技術等促進事業」(事業期間1年)の選定を受けて実施するもので、あらかじめコード化した点字ブロックの販売や、他の自治体も利用できるようオープンデータ化も進め、コード化点字ブロックの普及を目指す。(事業選定は2019年8月)
金沢市の協力のもと、広坂、兼六園、金沢21世紀美術館周辺など観光施設の多い地域から観光案内コード化点字ブロックの実装地点を選定し、2019年12月に敷設した。視覚障がい者や観光客、外国人など、周辺情報を必要としている人たちが白杖やウエストポーチ等につけたカメラや、スマートフォンで点字ブロックを読み取ると、AIが観光施設やレストラン、トイレ等を音声誘導するほか、災害時には避難所への誘導情報への切り替えも可能である。
研究開発チームは松井教授が事業の企画・推進・統括を担当し、視覚障がい者歩行サポートシステムに取り組むW&Mシステムコンサルタント(神奈川県川崎市)と誘導用点字シートを手掛ける大崎工業株式会社(大阪府堺市)が参画している。株式会社NTTドコモは5Gを活用した企画を担当し、観光案内コード化点字ブロックと併用した観光スタンプラリーに参画する。
2019年1月に金沢駅東もてなしドーム地下広場で行ったプロトタイプによる検証実験では、被験者が都度立ち止まって点字ブロックをカメラで読み取る必要があったが、このたびの社会実装研究を通じてコードの認識精度を向上させていく。音声案内情報もマップをベースに自動生成を行うため、最新情報の取得が可能となる。また、継続的な事業として展開するために、案内情報を広告等に用いる実証実験も進めていく予定である。
2019年度は開発と並行して、広坂を起点に観光スポットを回遊する点字ブロック観光スタンプラリーを開催し、当事業の周知を図る考えである。
2019年1月に金沢駅東もてなしドーム地下広場で行ったプロトタイプによる検証実験
敷設された観光案内コード化点字ブロック。コード番号と「観光」「トイレ」「レストラン」「避難所」などの種類、敷設された緯度、経度、高度、方位、方向、テキスト情報、音声情報で構成される。
(敷設例)金沢21世紀美術館市役所口側歩道
(敷設例)広坂交差点
(敷設例)広坂交差点
(敷設例)金沢市役所裏 旧西外惣構堀付近