早稲田大学に「国際文学館(村上春樹ライブラリー)」~隈研吾氏の設計で2021年4月オープン

研究・産学連携 大学通信 小林 聡

早稲田大学は6月20日(木)に記者会見を行った。昨年11月に就任した田中愛治総長は、これまでの活動成果の報告と、今後の展望について語った。

田中総長は「世界で輝くWASEDA」を標榜し、「教育」「研究」「貢献」の3本柱を掲げる。そのためには「たくましい知性」と「しなやかな感性」が必要だという。それは答えのない問題に挑戦する力を養い、ダイバーシティへの理解を深めることにつながる。田中総長は、それに向けた教育、研究の環境を整備していく考えだ。

今回の会見ではその一環として、「国際文学館(村上春樹ライブラリー)」の設置が発表された。

建築家・隈研吾氏が設計する「村上春樹ライブラリー」

早稲田大学に「国際文学館(村上春樹ライブラリー)」~隈研吾氏の設計で2021年4月オープン

田中愛治総長

昨年11月に、村上春樹氏が所蔵する資料の寄贈と、国際的な文学の研究センターの構想が発表されたが、それが具現化する。

「国際文学館(村上春樹ライブラリー)」は2年後の2021年4月にオープンするが、設計を担うのは、建築家の隈研吾氏だ。

これまで20カ国を超える国々で建築を設計し、国内外で様々な賞を受けている隈氏だが、最近では新国立競技場や高輪ゲートウェイ駅のプロジェクトが記憶に新しい。実は村上氏と隈氏は友人関係にあり、今回の設計の依頼に、隈氏からは快諾が得られたという。

会見で放映されたビデオメッセージで隈氏は、
「村上さんご自身はまだ生きているわけですし、故人を記念するような博物館ではなく、学生や色々な人に使ってもらう『生きたライブラリー』にしたいというのが村上さんの考え方で、まさに村上文学にぴったりのライブラリーだと感じました。そうした『生きたライブラリー』があることは学生の刺激になります。学生が実際に村上文学に触れるだけでなく、コーヒーを飲みながら今後の文学のあり方や世界のあり方を考えてもらうような、ある種カジュアルで文化的な場所になれば良いなと思って、設計を進めています」
と語った。

国際文学館は、村上氏が学生時代に足繁く通い、古い映画のシナリオを読んだという「演劇博物館」の隣に設置する。既存の校舎の一部を改修して作られ、新たな早稲田の文化の発信地となることが期待される。