白川文字学で読み解く新元号「令和」
”令”は神のおつげを聞いている姿から。 ”和”は軍門のしるしの形と誓いを収めた器から。 ─ 立命館大学
2019年5月1日から施行される新元号「令和」が公表された。この「令和」に込められた意味を、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所は、故・白川静名誉教授(以下、白川静博士)が築いた「白川文字学」にもとづき、「すばらしく、なごやかな時代」と読み解いた。
”令”
”令”は、象形で神官が冠をつけてひざまずいて神意を聞いている形である。古くは「令・命」二つの意味に用いている。元々は「神のおつげ」、そこから「おふれ」「いましめ、おしえ」「よい、ただしい、めでたい」「させる、いいつける」等の意味を表すようになった。
”和”
”和”は、会意で「禾」+「口」で表される。「禾」は軍門(陣営の門)のしるしの形であり、「口」は「誓いを収めた器」とされている。軍門の前で講和の誓いを行うと、平和になる。また別字に「龢」があり、「龠(やく)」は笛の象形で、「調和する」意味がある。
- ※「白川文字学」について
- 漢字は情報を伝えるための記号であることに加えて、それぞれに意味があり、その構造には文字体系が成立した時代の生活や思想・哲学が反映されている。この研究成果は古代漢字研究の第一人者である白川静博士が、中国最古の文字資料である殷・周時代の甲骨文や金文に対して体系的な研究を行い、中国および日本の古代文化について独創的な研究として築き上げたことで「白川文字学」と呼ばれている。
・立命館大学 白川静記念 東洋文字文化研究所HP
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/index.html