明海大学と日本不動産研究所が協定–実践的な人材育成を加速

研究・産学連携 松本 陽一
明海大学と日本不動産研究所が協定–実践的な人材育成を加速

明海大学不動産学部は、一般財団法人日本不動産研究所と「研究交流及び専門人材の育成協力に関する協定」を締結した。両者は2007年にも協定を結んでおり、今回の締結はその発展形である。締結式は12月10日、浦安キャンパスで行われ、明海大学からは中嶌裕学長、中城康彦学部長が、日本不動産研究所からは宮内豊理事長が出席し、連携の意義が語られた。

明海大学は1970年に城西歯科大学として設立。1992年に日本で唯一の不動産学部を開設し、現在は大学全体で大学院を含め約4300人が学ぶ。中嶌学長は、今回の協定によって「実践的な学びを強化し、不動産鑑定士をはじめ次世代を担う人材を育てたい」と述べた。

日本不動産研究所は1959年に設立。不動産鑑定評価を中心に、証券化や都市開発、環境評価など幅広い事業を展開している。建物の環境性能や防災、地域との調和を総合的に評価するグリーンビル認証も行い、持続可能な不動産価値を社会に示している。宮内理事長は「経済社会が変化する中、我々も変化してきた。専門人材の育成は非常に重要」と強調した。

不動産学部では今年からカリキュラムを改訂した。流通や金融、開発、投資、経営、管理といった不動産に関わる分野を、実践的に幅広く学べる内容になっている。また、不動産鑑定士を目指す学生の育成にも力を入れている。学生は空き家問題や都市再生などの現場に出向き、課題を自ら考える機会を得ている。中城学部長は「学ぶ意味を実感する体験が重要。現場で学生への期待を肌で感じてもらいたい」と話す。

今回の日本不動産研究所との協定により、こうした実践の場はさらに広がる見込みだ。専門家との交流機会が増えることで、学生が現場に触れ、学びを深めるチャンスが一層充実していくことが期待される。

最後に、不動産を学ぶ魅力について宮内理事長は「高校生がイメージする不動産は、自分の家くらいだが、例えば不動産鑑定士にはさまざまな働き方がある」と話す。都市開発の事業に関わり、投資家を呼び込む説明を行うこともあれば、金融の判断材料を提供する役割も担う。不動産の価値を示す専門性は、社会の大きな動きを支えている。

中嶌学長も「不動産学部は社会デザインを学ぶ場所だ」と語る。不動産を軸に、法律や金融など多くの分野が結びつき、社会に貢献できるテーマが多い。進路の幅も広く、将来につながる力を身につけられる。今回の協定は、こうした学びをさらに深める契機となりそうだ。