錦糸町でしゃべる点字ブロック導入の実証実験–金沢工業大学が視覚障がい者と外国人観光客を支援

錦糸町でしゃべる点字ブロック導入の実証実験–金沢工業大学が視覚障がい者と外国人観光客を支援

写真=コード化点字ブロックのイメージ。スマホ専用アプリで認識し音声案内を行う

金沢工業大学は、iU 情報経営イノベーション専門職大学や株式会社東京楽天地と連携し、視覚障がい者や外国人観光客の支援を目指した新技術「コード化点字ブロック」の実証実験を開始した。設置場所は楽天地ビル1階(錦糸町パルコ、東京都墨田区江東橋)で、期間は11月から約3か月間にわたる。

今回の実証実験は、商業施設では初の試みとなる。同施設内の約80メートルほどの区間に仮設の点字ブロックを敷設し、9カ所にコード化点字ブロックを設置した。これにより、視覚障がい者はスマートフォン専用アプリを使って現在地や目的地に関する音声案内を得られる。また、英語、中国語、韓国語での音声案内も可能で、外国人観光客への利便性向上も図られている。案内内容は、施設の入り口、錦糸町駅方向、映画館チケット売り場、飲食店、広域避難場所など多岐にわたる。

コード化点字ブロックは、金沢工業大学の松井くにお研究室とW&Mシステムズ合同会社が共同開発した技術である。点字ブロックに丸印や三角形のマーキングを施し、スマートフォンアプリ「Walk and Mobile」で読み取ることで、位置情報や周辺施設情報を音声で提供する仕組みだ。一つの点字ブロックで約3,000万種類の情報提示が可能で、進行方向によって異なる情報を得られる。

さらに、iUの堀田耕一郎教授が開発チームに参加。堀田教授はソフトウェア開発の専門知識を活かし、学生への指導を行った。今回の錦糸町での実証実験を通じて両大学でのさらなる技術検証を深める計画である。

現在、この技術は金沢市役所や金沢駅周辺をはじめ、東京近郊の公共施設など約350カ所に導入されている。錦糸町での実証実験を通じ、さらなる技術検証と普及が進められる予定だ。初日の11月1日から3日間は、NPO法人日本インクルーシブ・クリエーターズ協会やiU、株式会社 東京楽天地の協力で、スタッフが利用方法を説明。一般社会への認知度向上にも力を入れた。

コード化点字ブロックを認識するアプリ「Walk and Mobile」は、iPhoneおよびAndroidに対応しており、無料でダウンロードできる。検索キーワードは「コード化点字ブロック」。

今回の取り組みは、視覚障がい者の自立支援だけでなく、多言語対応による観光客支援や、点字ブロックの社会的認知向上を目指すものである。技術と社会の連携による「インクルーシブシティー」の実現に向け、今後の展開が期待される。