新設大学は「専門職大学・短大」8校を含む11校
学部学科新設は医療系、国際系を中心に、分野が多様化
写真=静岡県立農林環境専門職大・同短大部 完成予想図
20年は私立大9校と公立大・短大各1校の計11校が新設される。ここ数年は、毎年数校の新設で大学新設がゼロだった年もある。新設大学が10校を超えるのは、09年以来11年ぶりだ。
増加の要因は、19年から制度が始まった「専門職大学・短大」8校が認可されたためで、公立の静岡県立農林環境専門職大・同短大部のほか私立6校が開校する。専門職大学は、大学と専門学校の中間に位置付けられ、実践を重視しながら知識・理論もしっかり学ぶ教育機関だ。従来型の大学新設はわずか3校で、今後しばらくは専門職大・短大の増加が見込まれる。
学部や学科の新設では、例年と同じく医療系、国際系が多数を占める。
医療分野で高い人気が続いていた看護学部は、大学新設は湘南鎌倉医療大1校、学部設置は4校と少なめだ。リハビリテーション、臨床検査、診療放射線、栄養などのコ・メディカルスタッフを養成する学科など、分野は幅広く、看護学部の新設はピークを越えたようだ。新設の高知学園大は、健康科学部に栄養と臨床検査の学科を置く。
国際系は、人文系や社会科学系、学際系などさまざまな分野からグローバル化への対応を目指す学部が設置される。中でもユニークなのは、芝浦工業大・工が新たに開設する先進国際課程。入学時から指導教員がつく少人数制、学部教育はすべて英語で、分野横断型の学びで最先端研究に取り組み、全学生に国際会議での研究発表を課す。
教育系の設置も多い。新設の名古屋柳城女子大をはじめ、ほとんどが保育・幼児教育の分野だ。
写真=農学部を開設する摂南大学
このほか、理系学部の新設では、摂南大が大阪府内初の農学部を開設。また、近年理工系大を中心に設置が目立つのが建築学部だ。20年も4校が開設し、そのひとつ、武庫川女子大・建築は、他の3校が理工系学部を母体とするのに対して、生活環境学部からの改編により誕生する。女子大の理工系学部は、同大が4例目だ。
社会科学系は、成蹊大・経済科、経営、専修大・経済科、大正大・社会共生などがある。桜美林大・航空マネジメント学群は、パイロット、航空管制、空港マネジメントなど、航空分野の人材養成に特化した学群だ。
最近の学部新設の特徴のひとつに、女子大の社会科学系学部設置があげられる。20年は、共立女子大・ビジネス、武庫川女子大・経営が設置される。安田女子大は既設の現代ビジネス学部に公共経営学科を設置。和洋女子大・国際は国際ビジネスも視野に入れた教育を目的としている。
※大学・学部等の数は文部科学省が19年11月15日までに発表した資料による