早稲田大学がベンチャーキャピタルを設立へ
~財務+研究融合戦略の一環として~
早稲田大学は1月10日、スタートアップ企業の育成を目的に、ベンチャーキャピタルを4月に設立すると発表した。この日は創立者・大隈重信の没後100年にあたり、その記念式典での講演で田中愛治総長が明らかにした。名称は「早稲田大学ベンチャーズ株式会社(WUV)」。1号ファンドの規模は80~100億円を想定している。
早大は2012年、当時の鎌田薫総長が創立150周年となる2032年を見据えた「Waseda Vision 150」を発表。「入試制度の抜本的改革」など13の核心戦略を進めてきた。18年に田中総長就任後も「Next Stage」として継承してきたが、今年からは新たに「Waseda Vision150 and Beyond」と銘打ち、進化するという。
新たな戦略「Beyond」で田中総長は、研究戦略と財務戦略を重視。今回発表されたWUVの設置は、研究+財務の融合戦略という位置づけだ。
WUVは、早大発の新たな価値を生む発見や発明を社会実装し、人類社会の進化と幸福、持続可能性に貢献する事業と産業を創出することを本旨とする。主には理工系の研究の社会実装を支援していくことが想定されるが、人文系の研究成果をいかしたスタートアップにも投資していく考えだという。さらに早大だけでなく、他大学の研究にも広く門戸を広げていきたいとしている。
大学設置のベンチャーキャピタルは、既に東京大、慶應義塾大、東京理科大などが先行している。早大は後発ともいえるが、田中総長は「ベンチャーにも大学にも知見がある山本哲也氏と太田裕朗氏が共同代表として創設にかかわるのが最大の強み」と強調する。山本氏は東大発VCで取締役パートナーとして10年以上の投資実績を持ち、太田氏は産業用ドローンメーカーの元社長で、技術と経営両面で専門性がある。これまでの知見をいかし、主として最先端の研究成果をいかした「Deep Tech」の分野への支援に注力していく考えだ。