改革力が高い大学ランキング2020(全国編)
写真=近畿大学
多くの受験生が迷うのが志望校選び。そこで頼りになるのがエキスパートの意見だ。全国の進学校2000校に、進路指導教諭おすすめの大学についてアンケートを行った。各項目5校連記で大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント…として集計しランキングを作成した。今回は「改革力が高い大学ランキング(全国編)」だ。
一部授業のオンデマンド化を進める近畿大学
トップは近畿大学で305ポイント。2021年4月からは、動画コンテンツなどで、場所と時間を選ばずに授業を受講できる形式(授業のオンデマンド化)を導入する。オンデマンド化が予定されている共通教養科目は、対面授業も併せて開講。学生は自分に合った形式の授業を自由に選択できるようになる。受講者数が1,000人前後の学部横断的に開講している共通教養科目17科目と、TOEIC対策科目1科目の計18科目を同形式で開講する予定だ。近畿大学はこれまでも、他大学に先駆けて、インターネット出願、Visaプリペイド機能付き学生証の発行、Amazonでの教科書販売、コンビニでの各種証明書発行、キャンパスのキャッシュレス化など、ICTの分野で、先導的な取り組みを随時進めてきた。その改革のスピードは、コロナ禍にあっても緩むことはない。
ビジョンに現れる各大学の改革力
2位は東北大学で242ポイント。2018年に策定された「東北大学ビジョン2030」をもとに、大学改革を進行中だ。このビジョンには、「教育」「研究」「社会との共創」「経営革新」の4つのビジョンの下に、66の主要施策が掲げられている。例えば、「教育」分野の主要施策には、「エビデンスに裏付けられた新たなアドミッションの展開」がある。これは、入学者の実績や入試動向調査といった「根拠」をもとに、東北大学で学ぶ意欲の高い学生を受け入れようとするものだ。この施策を具体化するものとして、近年のAO入試拡大が行われている。さらに、昨年は「東北大学2030ビジョン」のアップデート版として「コネクテッドユニバーシティ戦略」を定めた。すでに、コロナ禍でのオンライン対応で成果を上げている。
3位は早稲田大学で187ポイント。早稲田大学は2012年に「Waseda Vision 150」を定めた。2032年に150周年を迎えるに当たり、世界トップクラスの大学になることを目指す。2020年4月現在、それを具体化する13の核心戦略と44のプロジェクトを動かしている。例えば、核心戦略の1つ、「入試制度の抜本的改革」をもとに、2021年の入試から政治経済学部での一般選抜改革が行われた。この他にも核心戦略「対話型、問題発見・解決型教育への移⾏」をもとに、講義科目のオンデマンド化と、1年次からの演習・ゼミを主体とする学生の発表やディベートといった、学生参加型授業の展開を目指している。「Waseda Vision 150」の改革の進捗状況はアニュアルレポートとして、ホームページで公開する徹底ぶりだ。
<表の見方>
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全国の約2000進学校を対象にアンケートを行い、910校から回答を得た。各項目ごとに5校を選んで順位をつけてもらい、1番目の大学を5ポイント、2番目を4ポイント……として集計した。
大学名の◎は私立、※は国立、無印は公立を表す。