大学3校、専門職大学・短大6校が開校
理工系学部は国私立大で改編が進む

大学改革 小松 栄美
大学3校、専門職大学・短大6校が開校 理工系学部は国私立大で改編が進む

文部科学省の11月までの発表によると、21年の新設大は3校。公立の三条市立大(新潟)は地域産業を生かして工学部を設置、叡啓大(広島)はグローバル化やICTの進展等に対応した人材要請に応え、ソーシャルシステムデザイン学部を新設する。私立大は松本看護大(長野)で、既設短大の改組により開学する。

専門職大は、公立1校を含む5校。公立は芸術文化観光専門職大(兵庫)だ。芸術文化・観光学部を設置し、観光業やエンタテインメント産業の人材を養成する。学長は劇作家で演出家の平田オリザ氏で、演劇の実習を学べる初めての国公立大になる。私立の4専門職大は、フード、情報、リハビリテーションの各分野の人材養成が目的だ。21年も専門職大が従来型の大学新設を上回った。このほか、専門職学科が私立1校に設置され、観光分野の専門職短大が1校開校する。

学部学科の新設では、情報を中心とする工学系、看護やリハビリテーションなどの医療系や、文系では、国際、経営などが多い。

工学系は、関西学院大が理工学部を改編し、理・工・生命環境・建築の4学部を設置。国立大も改組の動きが活発で、岡山大は工・環境理工学部を、宮崎大は工学部の7学科を、それぞれ工学科の1学科に再編。九州大は工学部6学科を12学科に改編する。

工学系の中でも情報は、コロナ禍において「リモート学習」や「テレワーク」が広まり、急速に関心が高まった分野だ。国立の群馬大が社会情報学部と理工学部電子情報理工学科を統合し情報学部を設置するほか、人材不足といわれるデータサイエンスに着目した学科が、中央大、立正大、南山大、大阪工業大などに設置される。情報分野は、21年度入試で人気を集めそうだ。

医療系は看護学科や理学療法、作業療法などのリハビリテーション関連、臨床検査、臨床工学などの新設学科がある。看護学科の新設は以前と比べて減ったが、人材不足が続いている。

国際系は、島根県立大、神田外語大、大谷大、北海道文教大などが学部を新設。渡航の制約から海外研修や留学が行えないなど、コロナ禍の影響を大きく受けるが、社会のグローバル化は今後も進み、人材育成に期待がかかる。将来性がありながら志願者が減少傾向にある“お得”な系統だ。

これからの時代に対応した学際系の学部新設では、金沢大の融合学域が注目される。幅広い学問分野を学ぶ文理融合の学域で、アントレプレナーシップ教育とデザイン思考を軸に、環境、社会、人間、自然を探求し、社会変革を先導する人材育成を目指す。