法学系 ─ 2019年学部系統別実就職率ランキング

ランキング 雫 純平
法学系 ─ 2019年学部系統別実就職率ランキング

日本文化大学=写真

同じ大学でも、学部によって実就職率は異なる。より詳細に大学の就職力を検証するために、学部系統別に実就職率を比較してみよう。第4回となる今回は、「法学系」学部に注目して実就職率を比較してみた。

法学系 ─ 2019年学部系統別実就職率ランキング

法の理解への重要性が増している

「法学系」学部では、憲法・刑法・民法、商法・刑事訴訟法・民事訴訟法のいわゆる「六法」をはじめ、労働法や行政法、国際法など様々な法律について学ぶ。人間のあらゆる活動は法律に基づいて行われているので、仕事の幅はとても広い。公務員への就職者数が多いことも特徴だ。

インターネットの普及やグローバル化など社会の変化の早い現代においては新しい問題も次々と多く生まれており、法を理解することの重要性はますます高くなってきている。

系統全体の実就職率は87.6%だった。(2019年8月5日現在。参照:2019年学部系統別実就職率ランキング

法学系では、公務員試験や法科大学院合格を目指して浪人する学生もいるため、他の系統と比べるとやや実就職率が低くなる傾向がある。

法学部のほか、知的財産学部もこの系統に該当

表は「法学系」学部の実就職率ランキングだ。トップは日本文化大・法だ。卒業生151人のうち145人が就職、4人が大学院に進学し、実就職率は98.6%だ。2位は京都女子大・法で96.5%、3位は大阪工業大・知的財産で96.4%だ。知的財産学部とは特許権、商標権、意匠権、著作権といった知的財産について専門的に学ぶ学部で、国内では大阪工業大にのみに設置されている。

4位は常葉大・法(94.9%)、5位は平成国際大・法(93.2%)だった。

6位以下は東北大・法、名古屋大・法、成蹊大・法、愛知大・法、清和大・法と続く。

日本文化大は警察官への実就職率日本一

トップの日本文化大は法学部だけの単科大学だ。必修科目として茶道を取り入れるなど特徴的な人格教育を行っている。75人が警察官として就職しており、警察官限定の実就職率は51.0%で日本一だ。消防官や地方自治体などへの就職者も多く、公務員に非常に強い大学として知られている。

2位は女子大で唯一ランクインした京都女子大。女子大ならではの手厚いキャリア支援が強みだ。さらに、2019年度より新たな資格取得・キャリア支援として「実務法学科目」をスタート。1年次より公務員試験や宅地建物取引士、行政書士などの資格取得に役立つ知識の取得をめざす。正課の授業として扱われるので他の授業と合わせて受講しやすいことも学生にとって嬉しい要素ではないだろうか。

4位の常葉大では少人数教育を実施。1年次から必修科目で少人数ゼミナール形式の「法学・政策学基礎演習1」を開講している。3年次の「地域政策実習」では自治体や公共団体でのインターンシップを実施。公務員志望の学生にとっては自分の適性やキャリアイメージが明確になり意義深いだろう。

<表の見方>
医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に今春の就職状況を調査。541大学から得た回答(10月8日現在)を基に、系統別に学部実就職率上位校を掲載した。卒業者数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、2部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。データを未公表、または未集計の大学・学部は掲載していない。

各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。


実就職率(%)は、就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100で算出。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載している値より高い場合がある。

文部科学省では、就職率を「就職希望者数に占める就職者の割合」で算出することを推奨しているため、各大学が公表している就職率と異なる場合がある。ここでは文部科学省が用いる「就職率」と区別するため、「実就職率」という表記を用いた。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。

大学院進学者数の「-」は進学者がいないか未集計を表す。大学名の△印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。大学・学部名は現在の名称で掲載している場合がある。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。

《法学系》

順位   大学(所在地) 学部 実就職率
(%)
卒業者数 就職者数 大学院
進学者数
1 日本文化大(東京) 98.6 151 145 4
2 京都女子大(京都) 96.5 120 110 6
3 大阪工業大(大阪) 知的財産 96.4 130 107 19
4 常葉大(静岡) 94.9 157 148 1
5 平成国際大(埼玉) 93.2 250 232 1
6 東北大(宮城) 92.9 165 131 24
7 名古屋大(愛知) 92.5 158 123 25
8 成蹊大(東京) 92.3 419 373 15
9 愛知大(愛知) 91.9 375 342 3
10 清和大(千葉) 91.8 149 135 2
11 甲南大(兵庫) 91.8 364 334 0
12 東北学院大(宮城) 91.7 358 322 7
13 松山大(愛媛) 91.7 207 188 2
14 名城大(愛知) 91.5 519 474 1
15 愛知学院大(愛知) 91.1 293 267 0
16 東洋大(東京) 90.6 537 483 4
17 中京大(愛知) 90.5 334 297 6
18 明治学院大(東京) 90.5 569 507 9
19 新潟大(新潟) 90.5 195 171 6
20 中央大(東京) 90.4 1,460 1,142 197
21 神戸大(兵庫) 90.2 184 129 41
22 慶應義塾大(東京) 90.0 1,282 1,049 117
23 法政大(東京) 90.0 809 703 28
24 摂南大(大阪) 90.0 240 215 1
25 青山学院大(東京) 89.9 471 408 17
26 関西学院大(兵庫) 89.7 649 558 27
27 南山大(愛知) 89.7 276 244 4
28 金沢大(石川) 法学類 89.7 164 139 9
29 上智大(東京) 89.5 354 298 21
30 京都産業大(京都) 89.2 538 477 3
31 熊本大(熊本) 89.1 212 180 10
32 創価大(東京) 89.1 258 212 20
33 早稲田大(東京) 88.9 794 615 102
34 流通経済大(茨城) 88.8 198 175 1
35 関西大(大阪) 88.6 734 617 38
36 広島修道大(広島) 88.6 301 263 4
37 愛媛大(愛媛) 法文 88.5 531 455 17
38 明治大(東京) 88.4 881 727 59
39 宮崎産業経営大(宮崎) 88.4 95 84
40   北九州市立大(福岡) 88.4 256 221 6
41 成城大(東京) 88.3 268 234 3
42 神奈川大(神奈川) 88.2 516 449 7
43 広島大(広島) 88.2 195 164 9
44 大阪経済法科大(大阪) 88.2 233 201 5
45 千葉大(千葉) 法政経 88.0 346 287 20