国公立医学科に強い高校2025

ランキング 文 秋岡 達哉(大学通信)
国公立医学科に強い高校2025

2025年度の大学入試は、長らく減少傾向にあった18歳人口がわずかながら増加に転じたこともあり、国公立大・私立大ともに一般選抜志願者数が増加した。また、大学入学共通テストの平均点アップにより、国公立大医学部の一般選抜志願者数も増加が予測されていたが、実際には前年度比でわずかに減少するという結果となった。このような状況の中で、例年高い人気と入試難易度を誇る医学科受験はどのような傾向にあったのだろうか。医学部医学科受験に詳しい個別指導塾「株式会社名門会」の梅原さんと金子さんに、25年度の「国公立医学科に強い高校2025」ランキングをもとにお話しを伺った。

まず「国公立医学科に強い高校2025」ランキングから見ていこう。全体的な傾向として、例年通り、上位には医学科合格者数ランキングの常連校が名を連ねており、合格者数が大きく増減した学校は少ないのが特徴だ。国公立大医学科受験の傾向について、金子さんは次のように解説する。「首都圏では、関東地方に医学科を持たない国公立大があるため、私立大の医学科を目指す受験生も多い傾向にあります。一方、関西地方では、すべての府県に医学科を持つ国公立大が存在します。そのため、多くの合格者を国公立大に輩出している高校が見られます。その他の地方においても、地元の伝統校がその地域の医学科合格者数を多く確保しており、都市部の中高一貫校が地方の医学科入試にまで手を広げるのは難しい状況にあると考えられます。」

ランキング1位は東海で108人。18年連続でのトップとなった。同校には、医学科進学に特化した特別なプログラムがあるわけではないが、医学科を志望する生徒が多く、互いに切磋琢磨できる環境が整っていることが大きい。また、中部地方には国公立大医学科を設置する大学が多数存在することも、同校の医学科合格科が多い一因となっている。

2位は東大寺学園で66人。東京大、京都大の合格者数はともに微減となったが、もともと医学科志向の生徒が多い学校でもあり、国公立大医学科の合格者数は前年より大幅な増加となった。

3位は開成で65人。言わずと知れた、日本有数の進学校だが、旧帝大以外の医学科合格者数が56人と増加しており、同校でも近年現役志向が高まってきていることが垣間見える。医学科受験全体での現役志向の高まりについて梅原さんはこう言う。「近年、医学科受験でも現役志向が強まっていると感じられます。高校の先生方も、浪人して難関校を目指すより、現役での合格を重視する指導にシフトしているようです。この背景には、必ずしも旧帝大にこだわるのではなく、旧六医大*1やTOCKY*2の一部の大学など、幅を広げてでも現役での合格を目指すという流れが確実に出てきていることがあります。このような現役志向のトレンドは、今後もさらに強まっていくと予想されます。」
*1 旧六医大(千葉大、金沢大、新潟大、岡山大、長崎大、熊本大)
*2 TOCKY(筑波大、お茶の水女子大、千葉大、神戸大、横浜国立大)


4位は洛南で61人、5位は滝と甲陽学院で59人、7位は灘で58人と伝統的に医学科への合格実績が高い学校が並ぶ。これらの学校で医学科合格実績が高い理由について、梅原さんは次のように分析する。「医学科に強い高校に共通する特徴は伝統だと思います。伝統的に医学科への進学者が多い高校では、生徒たちの間に医学科を目指すのが当たり前という共通認識がすでに根付いています。そして、多くの先輩が歩んできた道があるため、進路選択の際には、どこの医学科を目指すかという具体的な選択に集中することができます。そういった風土がすでにあるというところが大きいのだろうと思います。」

8位は久留米大学附設で57人、9位は西大和学園で55人、10位が仙台第二で48人と続く。トップ10のうち9校を私立中高一貫校が独占する中、公立高校である仙台第二が10位と健闘を見せた。公立高校ではこのほか、19位に札幌南、23位に熊本、26位に岐阜など地方の伝統校が上位にランクインしている。

また小規模校で卒業生数が少ない場合、合格率で見ると浮かび上がる学校がある。表の中で注目されるのが北嶺だ。全体のランキングでは26位にとどまるが、本表にはないが現役合格者占有率(卒業生数に対する現役合格者数の割合)でみると20.5%となり、全国で2位となる。これは、卒業生の2割以上が医学科に現役で合格していることを意味する。現役合格者占有率においては、2011年から2025年まで15年連続で全国トップ10入りを果たしており、安定した高い合格実績を維持し続けている。

最後に近年の国公立大医学科受験の傾向について金子さんに伺った。「医学科バブルみたいなものが、10数年前から起こっていますが、近年ボーダーライン自体は難化というよりは、ある程度のラインで落ち着いていると思います。地域格差に関しても、特に地方の国公立大では、地域医療を担う人材を確保するため、地域枠が拡大しています。その結果、大学によっては一般選抜の定員と特別選抜の定員がほぼ同数になるケースも見られます。以前は一般選抜対策に集中するのが主流でしたが、今は特別選抜を視野に入れた戦略的な受験プランが重要になっています。かつては浪人生と差をつけるために現役生が利用する手段の一つだった特別選抜が、今は一般選抜だけでは合格が難しくなっており、合格への重要な選択肢としてその価値を高めていると言えるでしょう。」

新学習指導要領のもと、初めての大学入学共通テストが実施された2025年度入試では、「情報」科目の追加など大きな制度変更があった。続く2026年度の国公立大医学科受験においても、いくつかの重要な変更点が話題となっている。それらのトピックスについて梅原さんに伺った。「札幌医科大、長崎大、千葉大では、地域医療を担う人材を確保するための地域枠が新たに設けられました。また大きなトレンドとして、後期日程の廃止があります。旭川医科大、山形大、佐賀大などが、後期日程での募集を取りやめました。これにより、これらの大学を目指す受験生は、受験方針を再考する必要があります。また大学入学共通テストにおいても、各大学で細かな変更が見られます。一例として、佐賀大では、理科の選択科目として生物が選べるようになりました。志望する大学の募集要項をこまめにチェックすることが重要です。」

国公立医学科に強い高校2025
医学部医学科受験に詳しい個別指導塾名門会の梅原惠太郎さん(左)と金子智之さん(右)

<表の見方>

◆2025年度入試で、防衛医科大を除く国公立大医学部・医学科合格者数の上位校をまとめた。
◆合格実績のある高校へアンケート取材(サンデー毎日とAERA、大学通信による3社合同調査)し、8月15日までに回答の寄せられたデータを基に作成。掲載している人数よりも実際の合格者数が多いことがある。また、一部の大学の合格者数のみで集計されている場合がある。非公表の高校は除いた。掲載したデータは、浪人などの人数を含んでいないことがある。したがって、空欄でも0人とは限らない。
◆卒業生数は全日制の人数を使用。高校名の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を表す。

国公立医学科に強い高校2025

国公立医学科に強い高校2025

国公立医学科に強い高校2025

国公立医学科に強い高校2025

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