写真=常葉大学
今回は、保育教諭の就職者が多い大学を紹介する。現在、教育と保育を一体的に行う、幼稚園と保育所の機能を兼ね備えた幼保連携型認定こども園が増加している。この幼保連携型認定こども園において、子どもを指導・保育する職員は保育教諭と称される。幼保連携型認定こども園は教育と保育を一体的に提供する施設であるため、保育教諭として勤務するには、保育士資格と幼稚園教諭免許の双方が必要だ。1位には就職者数55人の常葉大学がランクイン。2位は51人の大阪総合保育大学、3位は42人の神戸親和大学、4位は37人の神戸女子大学が続いた。保育教諭輩出のために、各大学がどのような取り組みを行っているのか、順に見ていこう。
1位の常葉大学は、静岡草薙キャンパスに保育学部保育学科を、浜松キャンパスに健康プロデュース学部保育健康学科(2025年4月こども健康学科より名称変更)を設置。両学科ともに保育士資格と幼稚園教諭一種免許を取得することができる。また、短期大学部保育科で保育士資格と幼稚園教諭二種免許状の取得が可能だ。保育学部では、学生が企画・運営する「トコトコのもり」プロジェクトが始動し、保育健康学科では地域活動と連携した支援事業親子教室「ポッケ」、短期大学部保育科では子育て支援事業「とことこ広場」を実施するなど、学生が子どもや保護者、教員と交流を深めながら、保育実践力を高める環境が整っている。また、「幼児教育支援センター」では、実習支援や採用試験に向けた相談対応など、キャリア形成に向けた支援を行っている。
2位の大阪総合保育大学は、日本初の保育系単科大学として保育・教育のスペシャリストを育成。2024年3月卒業生の就職率は100%、公立幼保採用試験の合格率は91%と、高い就職実績を上げている。「児童保育学科」では、保育士・幼稚園教諭一種免許、小学校教諭一種免許の3つの免許・資格を無理なく同時取得できるカリキュラムを用意。卒業生の96%がこの3つを同時取得し、さらに特別支援学校教諭一種免許も取得する4つ同時取得者は卒業生の46%に上る。また、2020年開設の「乳児保育学科」は、0〜2歳の乳児について脳科学や赤ちゃん学、小児医学など多様な分野から専門的に学ぶ。同学科においても保育士、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校教諭一種免許などの取得を目指すことができる。
3位の神戸親和大学は、2023年に共学化。教育学科の「幼児教育・保育コース」で、保育士資格と幼稚園教諭一種免許が取得できる。同コースでは、子どもが成長するプロセスを大切にして、乳幼児に丁寧に関わっていく保育者を育成。現場実習を想定した「実習指導(事前・事後)」による実践力を高める教育を行っている。その実践の場の一つが、学内に設置された子育て支援ひろば「すくすく」だ。学生が運営に関わり、子育てに関するさまざまなプログラムを提供している。また、新たな実践型の学びとして「SHINWA実践教育プログラム」がスタート。学内外での相互の学びから協働力や課題発見力を磨き、新たな価値を創造する人材の育成を目指す。
4位の神戸女子大学は、2025年4月に教育学部教育学科を新設する*。「幼児教育コース」で保育士資格と幼稚園教諭一種免許、特別支援学校教諭一種免許の取得が可能だ。地域の教育機関と連携した学校ボランティアやインターンシップを早期から用意し、教育現場の現状や子どもの心の問題など幅広い知識を身につける。2年次には神戸市内の幼稚園や保育所、子ども園などでのボランティア活動、3年次には「保育所実習」と児童養護施設や乳児院、障がい児入所施設などでの「施設実習」を通して子どもの発達を理解し、保育技術だけでなく多様な子どもの育ちを支援する方法を学ぶ。4年次には神戸女子大学附属高倉台幼稚園や神女中山手保育園などで1年間の実習を行い、即戦力として活躍できる力を磨く。
*文学部教育学科を改組
<表の見方>
-
医科・歯科の単科大等を除く全国757大学に2024年春の就職状況を調査。560大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数には臨任・非常勤を含む。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立。大学名横の*印は大学院修了者を含むことを表す。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。大阪公立大は統合前の大阪市立大と大阪府立大の実績を掲載した。