写真=岐阜聖徳学園大学
今回は、小学校教諭の就職者が多い大学を紹介する。1位は就職者数320人の愛知教育大学。2位は296人の福岡教育大学、3位は275人の北海道教育大学、4位は243人の東京学芸大学、5位は208人の岐阜聖徳学園大学、6位は197人の大阪教育大学、7位は180人の文教大学、8位は164人の玉川大学、9位は160人の明星大学、10位は149人の白鷗大学が続いた。小学校教諭輩出のために、各大学がどのような取り組みを行っているのか、順に見ていこう。
1位の愛知教育大学は、1873年に開校した愛知県養成学校から始まる150年以上の歴史ある国立教員養成大学だ。これまでに約7万人の教員を輩出。2021年度には「学校教員養成課程」を改組し、「幼児教育」「義務教育」「高等学校教育」「特別支援教育」「養護教育」の5専攻体制となった。このうち、義務教育専攻の「学校教育科学専修」「生活・総合専修」「ICT活用支援専修」「教科指導系10専修」と、特別支援教育専攻が小学校教諭一種免許の取得を卒業要件に含めている。また、義務教育専攻の「日本語支援専修」は、小学校教諭二種免許が卒業要件だ。さらに、全課程の学生が受講する共通教育科目「実践力育成科目」では、学校現場などでの活動を通して子どもたちと交流し、実践的な指導力や教師としての感性を磨くことができる。
5位の岐阜聖徳学園大学は、教育学部に幼稚園・小学校・中学校・高等学校および特別支援学校の教員免許が取得できるカリキュラムを用意。中でも文部科学省の教員養成GPにも採択された「クリスタルプラン」は、実体験を通して教員としての力を高める独自のプログラムだ。「教職体験科目群」と「子ども理解活動」から構成され、1年次から子どもたちと交流する機会を設けている。授業や学級経営の参観を経て3年次で教育実習を行い、段階的に実践力を身につける。また、教員採用試験に対しては、これまで学生が受験した20を超える自治体への対策を行っている。3年次で受験できるようになったことも踏まえ、変革期に入った教員採用試験の新しい流れに対応しうる支援体制を整えている。
7位の文教大学は、建学の精神「人間愛」のもと、私立大学で初めて教員養成を目的とした「教育学部」を開設。50年以上にわたり、1万人以上の教員を輩出してきた。同学部は、「学校教育」と「発達教育」の2課程を設置。学校教育課程では、教科別の9専修に分かれて専門性を高めつつ、小学校から高校までの学習体系を理解し、小・中・高の学びをつなぐスペシャリストを育成する。発達教育課程では、「特別支援教育」「初等連携教育」「児童心理教育」「幼児心理教育」の4専修を設置。それぞれの子どもに応じた発達支援ができる先生を目指す。また、「『先生の助手』体験プログラム」や「学生ボランティア補助教員制度」「アメリカ学校教育研修」など、独自の実践プログラムも用意している。
8位の玉川大学は、「教員養成の玉川」と呼ばれ、教育学部は創立者・小原國芳が掲げた「全人教育」のもと、豊かな人間性を備えた教員を育成してきた。小学校教諭一種免許は、教育学科の「初等教育専攻」で取得可能だ。初等教育専攻では、入学後すぐに幼稚園や小学校などで実際の授業を参観する「参観実習」をはじめ、学内外の学校・保育所などで実施する「教育インターンシップ」、近隣の学校や保育所で学習補助などの現場体験を行う「教育ボランティア」などさまざまな体験を通して教員としての資質を磨きながら、将来の方向性を見出していく。小学校の免許に加えて中学校二種免許(社会・保健体育)の取得も可能なため、小中一貫教育を視野に入れたキャリアを目指すこともできる。
9位の明星大学は、教育学部教育学科に「小学校教員」「教科専門(国語・社会・数学・理科・音楽・美術・保健体育・英語)」「特別支援教員」「子ども臨床」の4つのコースを設置。いずれのコースも小学校教諭一種免許の取得が可能だ。実際の教育現場を体験する「教育インターンシップ」や、学生同士が協働して課題に取り組む「フレッシュマンキャンプ」、学生自らがイベントを企画する「課外活動」など、さまざまな活動や交流を通して幅広い知識と視野を養い、実践的な指導力をもつ教員を養成する。キャリア支援においては「教職センター」が卒業まで一貫サポート。インターンシップや実習に関する手続きや校長経験者による指導、教員採用試験対策など、個々に応じた情報提供やアドバイスを行っている。
10位の白鷗大学は、大行寺キャンパスで学ぶ教育学部に、発達科学科を設置。4つの専攻のうち「児童教育専攻」の「小学校教育コース」で小学校教諭一種免許が取得できる。同大には、教育実習の前から教育の現場を体験できる「スクールサポート」制度がある。これは、週1〜3回程度、地域の小中学校で現場教員の指導のもと、児童や生徒の学習活動や部活動などを支援するもので、2年次から参加できる。また、「教職支援室」では、教員採用試験に向けた準備や対策支援を実施。公立校の管理職や教育委員会指導主事の経験者を教職支援アドバイザーとして配置し、教職教養の補習や論作文の書き方、個人面接、模擬授業など、実践的な指導を行っている。
<表の見方>
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医科・歯科の単科大等を除く全国757大学に2024年春の就職状況を調査。560大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数には臨任・非常勤を含む。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立。大学名横の*印は大学院修了者を含むことを表す。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。大阪公立大は統合前の大阪市立大と大阪府立大の実績を掲載した。