この10年で「企業入社難易度」が上がった企業ランキング2014-2024年

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この10年で「企業入社難易度」が上がった企業ランキング2014-2024年

十年一昔という言葉もあるように、10年間で大きく業績が上がる企業があれば、反対に落ち込む企業もある。大学生からの人気企業の顔ぶれも同様に、時代とともに変わっているのではないだろうか。大学通信が独自に算出した「企業入社難易度」について、24年と14年の数値を比較しながら、検証してみよう。

※総合ランキング及び「企業入社難易度」の詳しい説明については、以下の記事を参照のこと。
新卒就職者の出身大学から測る企業入社難易度ランキング2024

ランキングは企業入社難易度を24年と14年で比較し、数値の上昇幅が大きい企業を順に並べたもの。24年の調査対象である約400社のうち、いずれかの年の採用数が10人未満の企業、10年前と比べて採用数が半分未満に減った企業、10年前に調査を実施していない企業は除いた。この10年の間に、合併・統合したり、企業名が変わったりした企業もある。その場合は、母体になった企業のデータを用いて、なるべく入れるようにした。採用数は大学への調査結果なので、各企業のすべての採用数を網羅しているわけではない。

本集計の対象となる326社のうち、企業入社難易度が上がったのはわずか72社。残りの254社は10年前と同じかマイナスで、全体としては数値が出にくいランキングとなった。その背景には、両年の就職状況の違いがある。

まず、10年前を思い返してみよう。08年秋にリーマン・ショック、11年春に東日本大震災が起こり、企業の採用減や就活スケジュールの混乱など、就活生にとっては厳しい状況が続いた。14年卒の就職活動は、ようやく企業の採用活動が回復し始めてきた時期にあたる。大学生の平均実就職率*は81.6%で、前年の79.4%、前々年の76.1%よりは高いものの、大学生の約5人に1人が正規雇用で就職できない、厳しい就職状況だった。
*実就職率=就職者数÷(卒業生数-大学院進学者数)×100で算出

一方の24年卒は、コロナ禍が本格化した20年に大学に入学した世代だ。4年次となる23年5月に5類感染症に移行し、企業活動が正常化したことに加え、労働人口の減少による人手不足もあって、就活は学生優位の売り手市場となった。実就職率は88.7%の高率だ。新卒採用大学の裾野が広がったため各有名企業の入社難易度も、10年前に比べると全体的に少し低くなっているようだ。

では、ランキングに目を移そう。1位はAIG損害保険だ。18年に富士火災海上保険とAIU損害保険が合併し、現在の体制となった。そのため、10年前の入社難易度は富士火災海上保険のものを使用している。採用判明数は14年が15人、24年が11人で、両年ともに少ない。24年の新卒就職者の出身大学は、青山学院大と慶應義塾大各2人、国際教養大、大阪公立大、学習院大、上智大、法政大、同志社大、立命館大各1人。企業体制が変わったためか採用大学の傾向も変わり、14年は8人いた入試難易度55以下の大学からの採用が、24年は1人もいなくなっている。

2位は住友不動産。採用判明数は39人から31人に減っている。一方で、慶應義塾大が3人から6人、京大が0人から3人、東大が1人から2人、一橋大が0人から2人など、いくつかの難関大が数を増やしている。

3位はKADOKAWAだ。採用判明数が20人から36人に増えている中で、早稲田大が3人から12人と大きく増えているのが目立つ。東大も2人から4人に増えている。

4位はSMBC日興証券。出身大学と人数は、115大学483人から、53大学258人へと大きく絞られている。その中で、早稲田大は29人から33人、慶應義塾大は31人から28人、東大は9人から10人など、10年前と同程度の数をキープしていることから、就職者に占める難関大生の割合が高まっている。

5位はオリックス。10年前はオリックス自動車やオリックス不動産なども含めた、オリックスグループとしての集計となっている。採用判明数は124人から86人と減る中で、早稲田大が9人から15人、慶應義塾大が5人から9人などいくつかの難関大が就職者を増やしている。

(企業入社難易度の算出方法)
◆就職者数は、各大学へのアンケート調査による。未回答の大学は掲載していない。また、大学により一部の学部・研究科の人数を含んでいない場合がある。調査対象となる主要約400社は、日経平均株価指数の採用銘柄に加え、会社規模や知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に大学通信が選定した。
◆大学の入試難易度は、駿台予備学校・第二回駿台atama+共通テスト模試(合格可能性80%)を使用した。全データから、2部・夜間主コース、医学部医学科、歯学部歯学科、私立大共通テスト利用入試を除いた難易度の平均を学部平均難易度とし、その平均値を各大学の平均難易度とした。ただし、共通テスト利用入試のみの私立大は共通テスト利用入試のデータを使用した。また、専門職大学は集計外とした。
◆企業入社難易度は、大学の平均難易度×その大学からの就職者数を企業ごとに合計し、その企業の就職者数の合計で割り算した。同じ難易度で順位が異なるのは、小数点第2位以下の違いによる。就職者判明数が9人以下の企業は掲載していない。
◆2024年11月30日判明分

<表の見方>

◆表は企業入社難易度を24年と14年で比較し、数値の上昇幅が大きい企業を順にまとめたもの。24年の調査対象である約400社のうち、いずれかの年の採用数が10人未満の企業、10年前と比べて採用数が半分未満に減った企業、10年前に調査を実施していない企業は除いた。
◆この10年の間に、合併・統合や企業名の変更があった場合は、母体になった企業のデータを使用している場合がある。
◆同じ大学でも、実施された模試によって入試難易度は異なる数値となる。その影響を取り除くため、入試難易度はどちらも24年実施の駿台予備学校・第二回駿台atama+共通テスト模試(合格可能性80%)を使用した。
◆2024年11月30日判明分

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