2024年消防官就職者数ランキング
写真=国士舘大学
今回は、消防官の就職者が多い大学を紹介する。1位は就職者数132人の国士舘大学。2位は94人の帝京平成大学、3位は86人の帝京大学が続いた。消防官輩出のために、各大学ではどのような取り組みを行っているのか、順に見ていこう。
1位の国士舘大学は、日本で初めて救急救命士の国家試験受験資格が取得できる「スポーツ医科学科」を体育学部に設置した。東京消防庁の隊長経験者や医師など経験豊かな教員による指導のもと、救急医療の高度化や業務拡大に対応するために医学知識や救急処置、救助など、幅広い分野を基礎から実践まで学ぶことができる。海・山での救助実習、医学部付属病院などの救命救急センターでの病院実習、救急車同乗実習など、多様な実習が用意されている。また、同大は全学生必修の「防災総合基礎教育」や「防災リーダー養成論」といった科目のほか、「防災リーダー副専攻」制度を用意。指定する単位の修得により「防災士」の受験資格を得られるなど、全学的に「防災教育」に力を入れている。
2位の帝京平成大学は、池袋キャンパス(東京都豊島区)で学ぶ「健康メディカル学部 医療科学科」と、千葉キャンパス(千葉県市原市)で学ぶ「健康医療スポーツ学部 医療スポーツ学科*」に、それぞれ「救急救命士コース」を設置。救急救命士の国家試験受験資格を取得することができる。2コースともに、救急医療の高度化に対応した最新の設備での実習のほか、救命救急センターや消防機関などの協力のもとで行う現場実習を用意。4年次には救急救命士国家試験合格に向けた学習に取り組み、いずれのコースも卒業生の半数以上が公務に就いている。さらに、健康メディカル学部では学科・コースの枠を越えて学び合う「多職種連携教育」を通して他分野への理解を深め、実践力を高めることができる。
*2027年4月より、ちはら台キャンパス(千葉県市原市)に移転予定。
3位の帝京大学は、板橋キャンパス(東京都板橋区)の「医療技術学部 スポーツ医療学科」に「救急救命士コース」を設置。「救急救命士国家試験」と「消防官採用試験」の対策を軸に、救急現場を想定したシミュレーション実習や救急車同乗実習、救命センター実習など、実際の救急現場に近い環境で経験を積むことができる。また、体力錬成にも重点を置き、入学後から卒業まで筋力・体力づくりを行うのも特徴だ。さらに、福岡キャンパス(福岡県大牟田市)の「福岡医療技術学部 医療技術学科」にも「救急救命士コース」を設置し、救急医療の専門家として地域社会の課題に広く貢献できる実践力を養うために地域と連動したカリキュラムを展開。キャンパスがある大牟田市ほか、九州各地の医療機関や消防機関の協力のもとで行われるさまざまな実習を行っている。
<表の見方>
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医科・歯科の単科大等を除く全国757大学に2024年春の就職状況を調査。560大学から得た回答を基にランキングを作成した。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立。大学名横の*印は大学院修了者を含むことを表す。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。大阪公立大は統合前の大阪市立大と大阪府立大の実績を掲載した。