2024年学部系統別実就職率ランキング(理工系)
写真=豊田工業大学
実就職率ランキングの理工系学部1位は、実就職率100%の豊田工業大・工学部。2位は99.3%の愛知工業大・工学部、3位は99.0%の広島工業大・工学部が続いた。
1位の豊田工業大・工学部は、先端工学基礎学科で「機械システム」「電子情報」「物質工学」の3分野を横断して学ぶことができる。同大は、トヨタ自動車の社会貢献活動として1981年に開学。「企業と創る自立型人材の育成」を目指し、産学一体となった教育・研究環境を整えている。また、同社より大学運営寄付金を受けており、授業料は国公立大並みの年額60万円。教員1人あたりの学生数が約10人という徹底した少人数教育も特徴の一つで、実験や実習は1グループあたり5〜8人で行われている。また、1年次と3年次には全学生必修の「インターンシップ」を実施しており、トヨタ自動車や三菱電機など40社以上の製造・研究開発部門において、1〜1.5カ月にわたって実践的な課題に取り組んでいる。
2位の愛知工業大・工学部は、「電気」「応用化学」「機械」「社会基礎」「建築」の5学科を擁し、専門性の高い教育を実践。創立以来の教育指標である「ものづくり」を継承し、ものづくりが盛んな愛知県に位置する工科系総合大学として、「豊かな人間性とチャンレジ精神」を併せ持つ人材を育成する実学教育を展開している。例えば、学生のやる気を引き出す独自の制度として、「学生チャレンジプロジェクト」が挙げられる。この取り組みでは、作る場所や材料費、コンテストや大会に参加するための資金を大学がバックアップ。プロジェクトの申請から製作までのプロセスを通じて、専門知識や技術だけでなく、チャレンジ精神やリーダーシップ、フォロワーシップなどを学ぶことができる。
3位の広島工業大・工学部は、2025年春に「電子情報工学」「電気システム工学」「機械情報工学」「環境土木工学」「建築工学」の5学科体制へリニューアルする。2020年にスタートした教育プログラム「HIT.E ▶2024」をさらに強化。「専門力」「人間力」「社会実践力」を養成し、ボーダレスな学科連携を通じた学びを提供する。また、就職支援では、低年次から各業界の企業や工場を訪問するなど、企業と接点を多く持ちながら学びと社会とのつながりを認識することで職業観を養成。インターンシップなどを通して進路選択の幅を広げながら、技術者として必要な専門力に加え、社会人に必要な力を企業と連携して培い、毎年高い就職率を維持している。
<表の見方>
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医科・歯科の単科大等を除く全国757大学に2024年春の就職状況を調査。560大学から得た回答を基にランキングを作成した。卒業生数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、2部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。
各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。
実就職率(%)は、就職者数÷(卒業生数-大学院進学者数)×100で算出。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載している値より高い場合がある。
文部科学省では、就職率を「就職希望者数に占める就職者の割合」で算出することを推奨しているため、各大学が公表している就職率と異なる場合がある。ここでは文部科学省が用いる「就職率」と区別するため、「実就職率」という表記を用いた。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。大学・学部名は現在の名称で掲載している場合がある。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。大阪公立大は統合前の大阪市立大と大阪府立大の実績を掲載した。