2020年学部系統別実就職率ランキング(理工系)

ランキング ライター 林 郁子
2020年学部系統別実就職率ランキング(理工系)

写真=福山大学

平均実就職率が高い理工系

理工系学部の平均実就職率は92.2%と資格取得を主としない学部系統で最も高い数値となっている。

機械工学や電子工学など、ものづくりにかかわる学びに加え、政府が推進する、すべての人とモノがIoTで繋がるなど仮想空間と現実空間を高度に融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会を目指すSociety5.0による情報工学系の学びへの需要の高まりも背景にある。

また、理工系の学部ではより専門的な研究のために大学院へ進学する学生も多い。

充実した就職支援体制をほこる福山大

ランキング1位は、99.3%の福山大・工学部だ。

同学部は、機械システム工学科、情報工学科、建築学科のほか、電子・電気工学をベースにスマート社会の実現をめざすスマートシステム学科を有する。

1年次から「みらい工学教育プロジェクト」と題した学科横断型の問題解決型学修を実施するほか、地域の産業界や自治体組織と連携したプロジェクトに取り組むなど、実践的なプログラムを特色としている。

同大では全学部を対象に、大学主催の合同企業説明会の実施をはじめ、大阪など遠方で開催される合同企業説明会へのバスの運行、就職課への1級キャリアコンサルティング技能士の配置など、さまざまな就職支援にも力を入れている。

また、「BINGO OPEN インターンシップ」という独自のインターンシッププログラムを実施。初めてインターンシップに参加する学生のための事前研修や事後研修など充実した内容となっている。

400社が参加する大阪工業大の「就職祭」

2020年学部系統別実就職率ランキング(理工系)写真=大阪工業大学

2位は99.1%の大阪工業大・情報科学部だ。同大は97.8%の工学部も11位にランクインしている。

情報科学部は、社会の発展に貢献する情報のプロフェッショナル育成を目指している。日本技術者教育認定機構(JABEE)認定の教育プログラムに基づく教育コース(CSコース)を設けており、受講者は規定の単位を取得することで、「CSコース修了証」を得ることができる。

就職サポート体制については、独自の就職ガイダンスの実施や学生一人ひとりに担当職員がついて指導にあたるなど、きめ細やかに取り組む。

また、400社が参加する合同企業説明会や各種対策講座などが行われる「就職祭」を毎年春に実施するほか、業界セミナーやインターンシップなどにも力を入れている。

豊富な経験を持つ企業出身の教員が就職をサポートする金沢工業大

2020年学部系統別実就職率ランキング(理工系)写真=金沢工業大学

3位は98.7%の富山県立大・工学部、4位は98.6%の金沢工業大・工学部だ。

金沢工業大は、98.2%で6位にバイオ・化学部、97.7%で13位に環境・建築学部(2018年度から建築学部)もランクインしている。

金沢工業大は、教員の5割が企業出身者で構成されていることが大きな特色として挙げられる。社会のニーズに合わせたカリキュラムを可能にするほか、進路指導も各学科の教員が担当しており、通常の講義や演習を通じて、きめ細やかな指導やアドバイスを行うことができる。また、教員自らが企業訪問を行うなど、進路の開拓にも熱心に取り組んでいる。

地元有力企業の就職に強い愛知工業大

5位は98.4%の愛知工業大・工学部で、同大は97.4%で18位に情報科学部もランクインしている。

愛知工業大は、卒業生による全国各地の企業へのネットワークを就職サポートに活用している。中部財界主要企業約1,100社が加入する愛名会が後援組織となっており、地元有力企業への就職に強みを発揮している。

また、東海地方だけでなく、関西方面や長野、北陸各県からの学生のUターン就職や各地方へのIターン就職を支援するため、担当者を配置。各地域へと出向いて出展企業を誘致する「U・Iターン交流会」なども開催している。

そのほか、資格取得支援や多くの企業が参加する学内企業展など多彩な就職支援プログラムを実施している。

以降のランキングは、7位に98.1%の福岡工業大・工学部、8位に98.0%の東京海洋大・海洋工学部、9位に98.0%の関西大・環境都市工学部、10位に97.9%の中部大・工学部と続く。

ランキング25位までのすべての大学の実就職率は97.0%以上と、いずれも高い数値が僅差で並んでおり、理工系学部の就職率の高さがうかがわれる結果となった。

<表の見方>

医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。551大学から得た回答(11月18日現在)を基に、ランキングを作成した。卒業者数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、2部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。データを未公表、または未集計の大学・学部は掲載していない。
各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。
実就職率(%)は、就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100で算出。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載している値より高い場合がある。
文部科学省では、就職率を「就職希望者数に占める就職者の割合」で算出することを推奨しているため、各大学が公表している就職率と異なる場合がある。ここでは文部科学省が用いる「就職率」と区別するため、「実就職率」という表記を用いた。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。大学・学部名は現在の名称で掲載している場合がある。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。

2020年学部系統別実就職率ランキング(理工系)