2020年学部系統別実就職率ランキング(福祉系)
写真=関西福祉大学
福祉の専門職以外にも広がる就職
福祉系の学部は、学部系統別平均実就職率で見ると90.9%と、文系の学部系統では最高値となっている。社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士などの資格取得が可能なことと、社会の高齢化に伴い高いニーズが続く業界であることなどが、就職率に結びついている。
主な就職先は、福祉・保健・医療教育分野だが、公務員や一般企業への就職も多い。
福祉系の学部では、福祉を中心に、法律、社会、経営、教育、医療など幅広い分野の学問を学ぶ。特に、相手に寄り添うコミュニケーションやカウンセリング、心理学などは、福祉の専門職以外でも汎用性が高いスキルであり就職先の幅を広げる一助となっているのだろう。
少人数制の強みを生かした個別の就職指導・関西福祉大
福祉系の1位は、100.0%の愛知県立大・教育福祉学部だ。2位に98.7%の国際医療福祉大・医療福祉学部、3位に98.4%の高崎健康福祉大・健康福祉学部が続く。
98.2%で4位となった関西福祉大・社会福祉学部は、昨年度の37位から大きく順位を上げている。1学年100人前後の少人数制の学部だ。
少人数制のメリットを生かした、学生一人ひとりの個性や適性に合わせた個別の就職支援が特色で、ミスマッチをふせぎ、満足度の高い就職を実現している。
独自の就職支援プログラムで就職をサポートする聖徳大
写真=聖徳大学
5位は97.8%の県立広島大・保健福祉学部、6位は97.6%の聖徳大・心理・福祉学部だ。
女子大である同大では、2013年から「聖徳夢プロジェクト」という独自の就職支援プロジェクトを導入。入学時からスタートする就職志望分野のスケジュールに合わせた段階的なキャリア支援で、実就職率を毎年アップさせている。
支援プログラムは、自己分析などのキャリアデザインから、就活マナー講座や模擬面接会など具体的なスキルアップまで多彩だ。また、卒業生から直接仕事について話を聞く「就職夢アドバイザー制度」などもある。
国内外での実践教育に力を入れる、関西学院大
写真=関西学院大学
7位は97.6%の福井県立大・看護福祉学部、8位は97.4%の新潟医療福祉大・社会福祉学部、9位は97.2%の山口県立大・社会福祉学部、10位は96.9%の金城大・社会福祉学部、11位は96.8%の埼玉県立大・保健医療福祉学部、12位は96.6%の群馬医療福祉大・社会福祉学部が続く。
ランキング上位の私大は、ほぼ福祉や医療福祉などを専門とする大学が占めるなか、95.5%で16位となった関西学院大は人文社会と理系の14学部(2021年度より)がそろった総合大学だ。
同大の人間福祉学部は、実践教育に力を入れており、福祉・医療や教育、スポーツ事業などに関連する、国内外の200カ所以上の企業や自治体、NGO、NPOなどの施設で、実習やフィールドワーク、インターンシップなど行っている。
また、同学部では近年注目を集める社会起業を実践的に学ぶ、社会起業学科を設置している点も特色のひとつだ。
福祉系のランキングでは、例年地方の大学が上位を占めることが多く、今年も30位まですべて東京以外の大学となった。
<表の見方>
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医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。551大学から得た回答(11月18日現在)を基に、ランキングを作成した。卒業者数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、2部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。データを未公表、または未集計の大学・学部は掲載していない。
各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。
実就職率(%)は、就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100で算出。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載している値より高い場合がある。
文部科学省では、就職率を「就職希望者数に占める就職者の割合」で算出することを推奨しているため、各大学が公表している就職率と異なる場合がある。ここでは文部科学省が用いる「就職率」と区別するため、「実就職率」という表記を用いた。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。大学・学部名は現在の名称で掲載している場合がある。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。