2020年学部系統別実就職率ランキング(国際系)

ランキング ライター 林 郁子
2020年学部系統別実就職率ランキング(国際系)

写真=昭和女子大学

国際的に活躍できるビジネス力育成をめざす、昭和女子大グローバルビジネス学部

国際系学部は、学部系統別平均実就職率で見ると、理工系や資格取得が強みとなる看護・保健・医療系、家政・生活・栄養系などに比べてやや数値は低くなる。

そうした中、グローバルなコミュニケーション力にプラスアルファの学びがある学部が、上位にランクインする結果となった。

国際系の1位は実就職率100.0%の昭和女子大・グローバルビジネス学部だ。

昭和女子大は大学全体でみた卒業者数1000人以上の女子大の実就職率ランキングにおいて、10年連続トップを誇る。就職を中心に女性の生涯にわたる生き方の設計をサポートする、女子大ならではのキャリア支援が、高い成果をあげている。

多様な分野で活躍する社会人が学生の相談に直接応じる社会人メンター制度もそのひとつで、卒業生をふくむ社会人女性約300人がメンターとして登録している。

語学力や国際感覚を持つ観光人材を育成する阪南大・国際観光学部

2020年学部系統別実就職率ランキング(国際系)写真=阪南大学

ランキング2位は国立の山口大・国際総合科学部の97.7%、3位は新潟国際情報大・国際学部の97.4%、4位は常磐会学園大・国際こども教育学部の96.7%、5位は山梨県立大・国際政策学部の95.7%、6位は北九州市立大・国際環境工学部の95.6%となった。

このうち4位の常磐会学園大・国際こども教育学部は英語力やグローバルなコミュニケーション力を持つ保育士や小学校・幼稚園等の教員育成をめざす大学で、就職先の大半は保育・初等教育関連となり、同ランキングの他大学とはやや傾向が異なる。

また、6位の北九州市立大・国際環境工学部は、国際的な視野で環境問題解決に取り組む技術を持つ人材育成を目指しており、理工系学部としての側面も持っている。

94.7%で7位にランクインしたのは、阪南大・国際観光学部だ。同大の国際コミュニケーション学部は、89.0%で45位にランクインしている。語学力や国際感覚を観光分野で生かすことを目指した国際観光学部が、実就職率では上回った。

同学部は語学力の養成に加えて、フィールドワークやインベントの企画・参加、地域振興の調査・協力といった現場参加型のゼミを特色としている。就職先は、旅行会社やホテルなどの観光産業だけでなく、市役所や信用金庫など地域振興を担う方面にも広がっている。

グローバル化が進む現在、就職先は業種・職種を問わず幅広い

2020年学部系統別実就職率ランキング(国際系)写真=学習院女子大学

8位は国立の神戸大・国際文化学部の94.5%、9位は横浜市立大・国際総合科学部の94.3%、10位は法政大・国際文化学部の94.3%、11位は学習院女子大・国際文化交流学部の94.2%となった。

10位の法政大・国際文化学部は、文化をキーワードに多様なテーマで国際理解を深める学部だ。卒業生は、コミュニケーション力や情報処理能力などを武器に、幅広い業界で活躍している。就職支援のひとつである「就職セミナー」では、こうした卒業生が在学生のために目指す業界への就職活動や学生生活へのアドバイスを行っている。

僅差で11位となった学習院女子大はグローバルに活躍する女性リーダーの育成をめざす、国際文化交流学部のみの単科大。学習院のネットワークを生かした学習院大との合同就職セミナーのほか、女子大らしいきめ細やかなキャリア支援プログラムが特色だ。

多くの国際系学部では、語学力やコミュニケーション力の養成に力を入れており、グローバル化が進む現在、就職先は業種・職種を問わずに広がりを見せている。その一方、別系統の学びと融合し、教育やものづくりなど特定分野を学ぶなど、同じ国際系学部でもさまざまなパターンがある。

<表の見方>

医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。551大学から得た回答(11月18日現在)を基に、ランキングを作成した。卒業者数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、2部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。データを未公表、または未集計の大学・学部は掲載していない。
各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。
実就職率(%)は、就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100で算出。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載している値より高い場合がある。
文部科学省では、就職率を「就職希望者数に占める就職者の割合」で算出することを推奨しているため、各大学が公表している就職率と異なる場合がある。ここでは文部科学省が用いる「就職率」と区別するため、「実就職率」という表記を用いた。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。大学・学部名は現在の名称で掲載している場合がある。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。

2020年学部系統別実就職率ランキング(国際系)