早慶上理合格者合計トップ200校
公立トップと中高一貫校が上位を独占

ランキング 安田 賢治
早慶上理合格者合計トップ200校 公立トップと中高一貫校が上位を独占
写真=栄東中学校・高等学校

トップ開成、2位渋幕と日比谷、公立トップと中高一貫校が上位を独占

今年の入試は超安全志向の入試だった。来年からの大学入試改革前年ということが大きな理由だ。なかでも難関大の志願者がそろって減少。早慶上理(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)の志願者はすべて減って6.7%減だ。すべて減るのは05年以来15年ぶりのことになる。ただ、志願者が減っても、チャレンジ受験者が減っただけと見られ、逆に受験者のレベルはアップし、厳しい入試に変わりはなかったようだ。

その早慶上理に合格者がもっとも多かったのはどこの学校か。表は今年、早慶上理に合格者が多かったトップ200のもの。昨年と5年前との比較をできるようにしている。今年のデータには繰り上げ合格者を含んでいない。上智大は推薦などのデータを含んでいるが、他は一般入試だけのものだ。

トップは開成の516人で、2位に70人の大差をつけた。大学別の内訳を見ると、早稲田大の合格者がもっとも多く235人。次に慶應義塾大の160人、東京理科大の103人、上智大の18人だった。早慶はいずれも合格者数全国トップ。ちなみに上智大トップは79位の国際基督教大の50人、東京理科大は11位の栄東の156人だった。

開成の各大学の学部別合格者数を見ると、早稲田大では政治経済、基幹理工、先進理工、創造理工の4学部、慶應義塾大では理工、環境情報の2学部でトップだった。早慶の理工系学部すべてで開成がトップになった。この2校の理工系は他の私立大の一般入試と異なり、理科2科目が必須で負担が重い。開成がトップなのも国公立大志望者が併願しやすいからだろう。なお、上智大は学部別合格者数を公表していない。

2位は渋谷教育学園幕張と日比谷だった。両校とも4大学の中で早稲田大の合格者がもっとも多かった。渋谷教育学園幕張は早稲田大の法学部でトップ、日比谷は東京理科大の工学部でトップだった。

4位は千葉・県立だ。東京理科大の合格者がもっとも多く、理工学部ではトップの合格者数だった。東京理科大のキャンパスは広域で、東京にはメーンの神楽坂、葛飾、千葉に野田、北海道に長万部の4キャンパスがある。現在、学部学科の再編、キャンパスの再配置を計画しており、来年から基礎工学部が先進工学部に変わる予定だ。また、東京理科大はセンター試験利用入試を全学部で実施している。早慶の理系学部は実施していないため、国公立大志望者の併願が多いと見られる。

5位は豊島岡女子学園だ。女子校トップで理系に強い女子校として知られる。早稲田大137人の次に合格者が多いのが東京理科大の117人というのを見ても分かる。慶應義塾大、東京理科大の薬学部で合格者数トップだった。今年も東大に29人合格しているが、うち19人が理系の学類に合格している。国公立大医学部にも昨年は39人合格で、関東地方で4位、女子校では桜蔭の41人に次ぐ合格者数だった。再来年から高校募集を停止し、完全中高一貫校となる。

6位以下は市川、聖光学院、湘南、桜蔭、海城の順となった。上位には私立中高一貫校と公立のトップ校がずらりと並ぶ。聖光学院は早慶の合計合格者数は開成に次いで2位だ。学部別でも早稲田大では政治経済(開成とタイ)、商、社会科学、の3学部、慶應義塾大では経済、商の2学部でトップだった。

上位校はいずれも15年、19年との比較ではアップしたり、ダウンしたりしているが、桜蔭は右肩上がりで合格者が増えている。これは近年の入試が、定員の厳格化などで厳しくなっているため、現役進学志向が高まって併願者が増えたからと見られる。

5年前からもっとも伸びたのが栄東、10年前からは東京都市大付

早慶上理合格者合計トップ200校 公立トップと中高一貫校が上位を独占
写真=東京都市大学付属中学校・高等学校

次に伸びている学校について見ていこう。5年前に比べてもっとも合格者が増えたのが表中では11位で埼玉トップの栄東だ。186人から360人にほぼ倍増している。4大学とも合格者が増えた。東京理科大合格者数は全国トップだ。栄東は共学の中高一貫校で、中学入試では今年も志願者が1万人を超える人気校だ。埼玉の学校は1月10日から中学入試が始まるため、2月1日から始まる東京や神奈川の受験生の試し受験で狙われる。埼玉での中学受験熱の高まりもある。東大クラスで募集しており人気も高く、実績も年々伸びている。

次に伸びているのが44位の東京都市大付だ。91人から196人に105人の増加だ。4大学とも合格者が増えている。09年に併設の武蔵工業大の校名変更にともない現校名になり、10年に高校募集を停止し、完全中高一貫校となった。早くから中学入試で午後入試を実施し人気を集めている。13年に最難関国公立大を目指すⅡ類の募集を開始し、今年の卒業生はその二期生に当たる。昨年も伸びたが、今年はさらに実績が伸びた。東大合格者も昨年の2人から5人に増えている。

次に伸びているのが17位の国立で86人増だ。東京の進学指導重点校に指定されている7校の内の1校だ。それに続くのが86位の南で79人増だ。南は12年に公立一貫校になり、18年に初めて卒業生を送り出し、そこから合格実績が伸びている。

次に10年前と比べてみよう。もっとも伸びたのが東京都市大付だ。5年前と比較しても伸びているが、10年前と比べても大きく伸び149人増だった。次に伸びているのが広尾学園だ。10年前には2人しか合格者がいなかった。早稲田大が1人から39人に、慶應義塾大は0から27人、上智大は0から40人、東京理科大は1人から32人に増えている。早慶上理で上智大の合格者が一番多いのも特徴だ。広尾学園は元は順心女子学園で、07年に共学化して現校名に変更した。インターナショナルコースを設置し、医進・サイエンスコースを11年に高校に、15年に中学に設置した。中高ともこの2コースに本科を加えた3コース制だ。英語教育、サイエンス教育、ICTを活用した授業で実績を大きく伸ばしてきた。今年も東大に3人合格している。海外大に強いのも特徴で、昨年は74人が合格し、東大、京大に合格者を送り出している学校の中ではトップの合格者数だった。

安全志向が強かった中で、合格者を増やしている学校は少なくない。10年の間に大きく伸びた学校も多い。学校選びはいつも難しいが、現在、実績が高い学校だけではなく、やはり卒業時に伸びている可能性が高い学校を探すことも心掛けたい。どのような教育を展開しているのか、教職員の熱意は高いのか、生徒はしっかり学んでいるのかなど、学校での説明会などに参加して選んでほしい。

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