MARCH合格者合計トップ200校

ランキング 安田 賢治
MARCH合格者合計トップ200校

写真=山手学院中学校高等学校

トップ川和、2位山手学院、3位柏陽と神奈川勢がトップ3独占

今年の入試は大きな異変が起きた。国公立大は2年ぶり、私立大は14年ぶりに志願者減となったのだ。国公立大、私立大とも難関大の志願者が減少、安全志向の入試となった。こうなったのは、来年から始まる大学入試改革、特にセンター試験に代わる大学入学共通テスト実施への不安からだ。新テストの目玉ともいうべき民間英語試験の成績利用が延期、記述式問題の出題も見送られた。しかし、昨年の暮れの発表では遅すぎ、今年の受験生はこの時期では志望校変更ができなかった。入試改革への不安から浪人を避け、現役での進学を望む受験生は、最後まで安全志向の志望校選びのままだった。

その中でMARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)の志願者数合計は現段階で36,356人、8.1%の減少だ。MARCHすべてが志願者減となるのは、1997年以来23年ぶりのこと。私立大全体では約3%の減少だから、それを下回った。合格者数はわずか756人、1%増にとどまり、ほぼ昨年と変わらなかった。数字上は入りやすい入試となった。その中で、今年は合格者の顔ぶれに大きな変化があった。安全志向から上位高からの合格者が増えたのだ。

MARCH合格者合計トップは神奈川の県立川和で、昨年の9位からの躍進。現段階で昨年の最終合格者数と比べて、トップとなる109人増で531人だった。特に明治大は昨年より66人増えて233人で全国トップだ。学部別では商、経営、情報コミュニケーションの3学部でトップだった。青山学院大が10人増えて67人で全国2位。学部別では教育人間科学、理工の2学部でトップだった。立教大、中央大、法政大すべてで、昨年より合格者が増えている。川和は部活動や学校行事に力を入れているが勉強にも力を入れ、文武両道の高校として知られ人気も高い。人口が増加している港北ニュータウンに近く、優秀な生徒が進学しているという。神奈川には県が指定する学力向上進学重点校が4校ある。横浜翠嵐、湘南、柏陽、厚木だ。さらに、学力向上進学重点校エントリー校として13校が指定され、その中に川和も含まれる。地元の塾関係者は「川和がエントリー校から重点校に上がる筆頭といわれています。もともとMARCHや早慶に強い高校ですが、今年は安全志向から合格者が増えたのでしょう」と言う。MARCHの合格者合計を神奈川の県立校で見ると、柏陽が471人で3位、湘南が449人で5位、横浜翠嵐が377人で13位、厚木が371人で16位で、川和はこの4校を上回った。

2位は山手学院で昨年の11位から躍進した。合格者数は79人増えて486人だ。中高一貫校で中学3年生、高校2年生で全員が海外でホームステイする。グローバル教育に力を入れ、自由な校風でも知られ、大学合格実績が伸びている学校だ。

3位は神奈川県立の柏陽、4位は千葉の私立一貫校の市川、5位は神奈川県立の湘南だった。神奈川勢がトップ3を占めた。神奈川のトップ校からの合格者が増えている。MARCHのキャンパスが神奈川県内や東京の多摩地区に多く、通いやすいこともある。東京トップは7位の国学院大久我山、埼玉は6位の大宮開成がトップだった。大宮開成は昨年MARCH合計合格者数トップだったが、今年は昨年に比べて177人減の415人。卒業生数が昨年に比べて167人減の470人だったことが影響しているようだ。

昨年に比べて伸びたトップは川和、次いで立川、東邦大付東邦、川崎・市立の順

昨年に比べて今年、合格者を増やした学校では、川和に次ぐのが107人増で397人だった立川だ。昨年の45位から9位に躍進した。東京の進学指導重点校に指定され、進学に力を入れている。進学指導重点校は7校が指定されているが、その中でMARCH合格者数では立川がトップだった。他では国立が12位、西が14位、青山が25位、八王子東が35位、戸山が48位、日比谷が54位だ。

昨年の168人から269人に101人増えたのが東邦大付東邦だ。東邦大の付属校で、昨年は東邦大医学部に16人、薬学部に3人、健康科学部に1人が内部進学している。ただ、付属校より進学校としての実績が高く、今年は東大に4人、京大に3人、東北大に11人、東京工業大に15人、慶大に32人、早大に55人が合格している。2017年より高校での募集を中止し、千葉で唯一の完全中高一貫校となった。

昨年より7人から87人に80人増えたのが神奈川の川崎・市立だ。14年に公立中高一貫校となり、今年初めて卒業生が出て、実績が大きく伸びた。

10年前と比べて伸びているのは、学校改革の成功によるところが大きい

10年前とも比べてみよう。もっとも伸びているのは東京都市大付で86人から335人へ249人増、3.9倍になった。東京都市大付は元は武蔵工業大付で、09年に併設大学の校名変更にあわせて校名が変わり、学校改革にも積極的だ。完全中高一貫の男子校で大学付属校だが、昨年の内部進学者は11人にとどまり進学校として知られる。近年、実績が伸びており、今年も東大に5人、京大に2人、早稲田に68人、慶應に41人合格している。

次いで、227人から471人に244人増えた柏陽、60人から280人に220人増えた朋優学院だ。元は女子校の中延学園だったが、共学化して朋優学院に変わり、高校だけの私立高だが、近年、人気がアップしている。次いで、三田、川和、大宮開成の順だった。

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