大学入試センター試験
学部志向は緩やかな「文高理低」、安全志向は変わるのか

入試 小松 栄美
大学入試センター試験 学部志向は緩やかな「文高理低」、安全志向は変わるのか

18日、19日に「大学入試センター試験」が実施される。来年からは「大学入学共通テスト」に代わり、1990年に始まったセンター試験も31回目の今年が最後となる。20年の志願者数は55万7698人、前年と比べ現役生は2.7%、浪人生は5.9%減り、とくに浪人生の減少が顕著だ。センター試験志願者数だけでなく、浪人生自体が今年は例年以上に減っており、新しい入試制度を前にして、昨年からの強い現役志向がうかがえる。

新たに行われる共通テストは、思考力や判断力を問う出題となる予定だ。そうした内容を先取りした問題が19年のセンター試験でも取り入れられ、20年もこうした出題は続くと見られる。その他には大きく変わることもなく、これまでのセンター試験のように本質を問う出題になるだろう。科目別では、19年のセンター試験は国語と英語リスニングの平均点が上がったため、20年はこの2科目で問題の難化が予想される。

センター試験志願者数の減少を受け、国公立大二次試験の志願者数も、若干減少すると見られている。大手予備校によると、模試の受験者数では、旧7帝大(北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大)やその他の難関大、準難関大の志望者が、全体で減少している。

二次試験の出願状況は、センター試験が終ってみないとわからない。センター試験の平均点が下がると、二次試験で弱気な選択をしてしまう生徒が少なくない。今年のセンター試験志願者は、高大接続改革の「英語外部試験」と「共通テストの記述式出題」の導入延期が追い風となる可能性がある。続いていた「超安全志向」も変わりそうだ。

一方、私立大のセンター試験利用方式も、志願者数が減少しそうだ。今年の私立大志望者は、一般入試メインで受験する傾向があるという。

また、最近の学部系統別の志望状況は、理系よりも文系の人気が高い「文高理低」が定着している。20年度も同様だが、文系と理系の差は緩やかになってきた。国公立大入試も、理系の中では情報系の人気が高く、理学・工学系の志望者数を押し上げている。同じ理系でも、センター試験で高得点が求められる医学系、薬学系は、失敗したら後がないと考える生徒が多く、志望者が減少している。文系は、国際系、人文系の人気が高く、法学系志望者は今年もやや減っている。