大学入試センター試験まであと9日
高大接続改革の変更で「超安全志向」に変化
2020年の大学入試センター試験の志願者は、19年より3.3%減少した。19年も1.0%減少したが、センター試験の平均点が上がったことや現役志向から、国公立大では2次試験の出願者数が8年ぶりに増加した。国立大は前年とほぼ同数、公立大は大学や学部の増加、教科数の少ない入試などが歓迎され、3.1%の増加となった。
入試制度の変わり目には「現役志向」がいっそう強まる傾向がある。今年は、「大学入試センター試験」最後の年。現役志願率(20年3月高校卒業見込者のうちセンター試験に出願した人の割合)も2年続けての減少となった。21年に新たに始まる「大学入学共通テスト」を前に「超安全志向」があるからだ。
そのため、国公立大2次試験の出願者は大きく増加しないと見られる。国立大は、ここ数年一般入試の後期日程の廃止が続き、難関国立大や医学部を中心に、前期日程の1校受験になりつつある。国立大全体で見ても、後期日程の募集人員は一般入試の2割未満と少ない。さらに、国立大はセンター試験で課される科目数が多く受験生の負担が大きい。そのため、センター試験の結果に左右され、平均点が下がれば敬遠されやすい傾向にある。公立大は、大学新設や学部新設により募集人員が増え、多少の増加が見込まれそうだ。
21年度からの高大接続改革は、昨年11月に英語民間試験活用の延期が決まり、12月には国語・数学の記述式問題導入の見送りが公表された。大学入学共通テストになっても現行のセンター試験と大きくは変わらないことが分かり、不安感が軽減された生徒も多かったろう。しかし、センター試験の出願期間はすでに終わっており、10月時点で国公立大志望から私立大へシフトした生徒が、今さら志望を戻せるわけでもない。現役進学にこだわり、難化が続く一般入試を避け、秋までに推薦入試やAO入試といった一般入試以外の選択肢を選んだ生徒も少なくない。
「浪人したら不利」ではなくなったことから、センター試験の平均点が上がれば、国公立大2次試験の出願で「超安全志向」に歯止めがかかる可能性がでてきた。「浪人したくない」という理由で大学を選ぶのではなく、「本当に行きたい大学」をあきらめないことが大切だ。