MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)に強い学校

入試 大学通信 安田 賢治
MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)に強い学校

新年度が始まり、平成最後の入試が終了した。少子化で受験生数は減っているが、私大志願者は4%も増えた。受験生が併願校を増やしたからだ。激戦入試となったが、今年の私立大入試では異変が起きた。

昨年に比べて大手人気大学の志願者の減少が顕著だったのだ。早慶上理(早稲田、慶應義塾、上智、東京理科)では東京理科大だけ増えて合計で2.8%の志願者減。MARCHでは、中央大学だけ増えて3.8%志願者減。関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)では関西大学だけ増えて4.1%志願者が減少した。

昨年は慶應義塾大学、関西学院大学を除いて志願者増だったから逆の結果になった。それほど上位大は敬遠された。志願者が大きく増えたのは、難易度50未満の大学・学部だ。

大手予備校の入試担当者は「難関大の志願者が減って、その下の志願者が増えているのは、安全志向が強まったからで、もはや超安全志向と言っていいほどです。理由は二つあり、ひとつは2016年から始まった私立大の定員厳格化で、各大学は合格者を減らし難化が進んだことです。もうひとつは、再来年は大学入試改革初年度の入試になりますから混乱しそうで、その前年に当たる来年入試は、センター試験最後の年となりますから、浪人できないと考える受験生が今年以上に安全志向になりそうです。今年、浪人したところで、入試は入りやすくなるわけではなく、受験生の現役合格志向が高まったのでしょう」と言う。

来年以降、入試は厳しくなるということだ。昨年までは難関大の併願校を増やして合格を勝ち取ろうとした。しかし、予想以上に各大学は合格者を減らしたため入試が厳しくなり過ぎ、合格は難しいと考える受験生が多かったのだろう。その結果、難関大を敬遠したと見られる。

ところが、今年は合格者を減らすMARCHの大学は少なかった。当初合格者数について昨年と比べると、明治大学は897人増だった。青山学院大学はコミュニティ人間科学部を新設したこともあって692人増だ。立教大学は448人増。中央大学は国際経営、国際情報の2学部を新設したこともあって1348人増。法政大学は519人減だった。

MARCH合計で2866人増えた。今年は定員の厳格化の縛りが緩み、昨年と同じ定員の1.1倍未満でいいことになり、合格者を増やしたと見られる。法政大学も追加合格を出し、最終的には昨年より合格者数は多くなった。

志願者が減って合格者が増え、入りやすくなった。MARCHすべてが昨年より合格者が多くなっている。ところが、例年より入試は厳しかったとの話が、高校から漏れてくる。

下表を見てほしい。これはMARCH合計の合格者トップ20の表だ。中央大学、法政大学、明治大学、立教大学には3月末までに発表された追加合格者を含んでいる。トップは昨年の2位から順位を上げた大宮開成だ。昨年より合格者が133人増えた。
中央大学、法政大学で全国トップ、立教大学は2位だった。今年は東京大学に2人、京都大学に1人、埼玉大学に27人、早稲田大学に67人、慶應義塾大学に32人合格している。早慶の合格者数は埼玉私立トップの栄東、開智に次ぐ進学校として注目されている。

2位は湘南の454人、3位は3人差で厚木だ。厚木は青山学院大学全国トップだった。4位は浦和第一女子の441人で、立教大学全国トップ、5位は大宮だった。埼玉、神奈川勢が強い。すべての大学が埼玉や神奈川、あるいは神奈川に近い多摩地区にもキャンパスを設けていることが影響している。

東京トップは8位の国学院大久我山、公立は12位の国立だ。MARCHのキャンパスがない千葉のトップは9位の市川、公立は18位の千葉東だった。

4位の埼玉トップ女子校の浦和第一女子は合格者が174人増え、昨年の43位から躍進した。今年も東京大学に4人、京都大学に1人、北海道大学に7人、東北大学に6人合格している。埼玉では公立でも男子校、女子校がある。

11位の埼玉トップ男子校の浦和・県立は合格者が125人増え、昨年の37位から伸びた。浦和・県立は明治大学が全国トップだ。東京大学に県内トップの41人、京都大学に18人、東北大学に41人、一橋大学に17人合格している。

埼玉の学校情報に詳しい岩佐教育研究所の岩佐桂一代表は「浦和・県立は埼玉で東大合格者数1位ですから、早慶などに強いのですが、昔ほどは早慶に受からなくなってきており、MARCHの併願者が増えたのでしょう。東京理科大学の合格者数は変わっていませんから、文系の生徒がMARCHを抑えに、と考えたのではないでしょうか」と言う。

こういったトップ校の合格者が増えたため、他校に大きな影響を及ぼしたと見られる。他でも神奈川の柏陽は昨年の27位から7位に、千葉東が35位から18位に躍進している。MARCHが相対的に難化したことは間違いないようだ。

入試の難化は他の難関大でも見られる。志願者数、合格者数では測れない部分が出てきているといえよう。

3月31日末までの集計

この表はスクロールしてご覧ください。

この表は「矢印キー」を使用して、スクロールしてご覧ください。

順位 設置 高校名 所在地 MARCH
合格者計
明治大 青山
学院大
立教大 中央大 法政大
1 大宮開成 埼玉 588 103 55 115 161 154
2 湘南 神奈川 454 190 46 51 91 76
3 厚木 神奈川 451 151 69 42 100 89
4 浦和第一女子 埼玉 441 126 26 143 54 92
5 大宮 埼玉 425 142 32 98 58 95
6 開智 埼玉 424 131 33 74 89 97
7 柏陽 神奈川 423 145 50 57 95 76
8 国学院大久我山 東京 419 120 57 55 117 70
9 市川 千葉 413 151 36 77 75 74
  川和 神奈川 413 160 57 52 66 78
11 浦和・県立 埼玉 405 202 8 49 91 55
12 川越・県立 埼玉 404 150 10 61 86 97
  国立 東京 404 159 19 43 120 63
14 青山 東京 401 158 33 75 65 70
  山手学院 神奈川 401 113 55 78 68 87
16 城北 東京 387 166 19 60 72 70
17 鷗友学園女子 東京 382 138 50 100 56 38
18 千葉東 千葉 358 92 28 67 60 111
19 横浜翠嵐 神奈川 351 163 26 27 78 57
20 桐光学園 神奈川 345 89 41 50 98 67