文系学部人気が曲がり角に差し掛かった2019年入試
文系学部の人気が高く理系学部の人気が低い、「文高理低」の出願状況が続いてきたが、2019年入試では、文系で志願者が減少する学部系統が散見される。
3月5日までに確定した主要100私立大の出願状況を見ると、社会科学系では、商学の志願者が前年比99.6%になった。社会科学系の志望者は大学名を優先して選ぶことが多く、同じ大学の社会科学系の中で、前年の倍率が低い学部に出願することが背景にありそうだ。
さらに、商学にビジネスのイメージを持ちにくいことが、就職を重視する受験生の敬遠要因になった可能性もある。
商学部の志願者が減少している大学には、慶應義塾大学や中央大学、早稲田大学、愛知学院大学、同志社大学、関西学院大学、西南学院大学などがある。
商学同様にビジネスをイメージしにくい経済は前年比99.7%。一方、受験生にビジネスの実践を学ぶ学部と見られがちな経営は108.1%と増えている。経営学部の志願者が増えた大学には、駒澤大学や産業能率大学、専修大学、東京理科大学、東洋大学、名城大学、京都産業大学、追手門学院大学、大阪産業大学、桃山学院大学などがある。
社会科学系では法学の人気が上がっており、前年比105.9%。駒澤大学や成蹊大学、専修大学、東洋大学、武蔵野大学、神奈川大学、京都産業大学、同志社大学、桃山学院大学、甲南大学、神戸学院大学、西南学院大学などで志願者が増加した。
文系学部全体で志願者の増え幅が最も大きいのは国際で、前年比127.2%。対照的に外国語は志願者が減り96.6%。外国語でもグローバルな素養を涵養できる。しかし、受験生は学部名に国際とつく方がグローバルな力が身につくと考えるようだ。人気が高いことから、既存の学部を国際に作り変える大学が多く、設置数が増えたことも志願者増の要因となっている。
安全志向から志願者が減少傾向の難関大学もこの系統は別で、法政大学・国際文化や早稲田大学・国際教養、青山学院大学・国際政治経済などが前年の志願者数を上回った。
総じて人気の高かった文系学部の出願状況に濃淡が出てきた19年度入試。これまで続いてきた文系学部人気は、曲がり角にさしかかったのだろうか。