理工系学部の志願者増は、文高理低が変化の兆し!?
受験生の学部志望動向は、文系の人気が高く理系の人気が低い「文高理低」の状況が続いてきた。しかし、19年入試の出願状況を見ると、理系のすべての学部が不人気というわけではない。人気がないのは医療系や栄養系で、私立大の理工系学部の中には、志願者が増えている大学が数多くあるのだ。
3月5日までに確定した主要100私立大の志願者を集計すると、理工系学部は前年比108.4%。大学別では、工科系大学の出願状況が好調で、日本工業大学や千葉工業大学、工学院大学、芝浦工業大学、東京理科大学、金沢工業大学、大阪工業大学、広島工業大学などの志願者が大幅増。総合大学では、学習院大学・理、玉川大学・工、南山大学・理工、近畿大学・理工、甲南大学・理工などが前年を上回っている。
理工系の中でも、情報技術の急速な発達を背景として情報系学部・学科の人気が高い。安全志向から大学全体の志願者が減少傾向の難関大でも、この系統の志願者は増えているケースもある。志願者大幅増で難化した大学には、東海大学・情報通信、明治大学・総合数理、大阪工業大学・情報科、関西大学・総合情報、甲南大学・知能情報、広島工業大学・情報などがある。
理系で人気がない医療系の志願者は、薬学系が前年比94.8%、看護系が91.9%などとなっている。人気が下がっているのは、私立の医療系学部は学費が高いことが挙げられる。さらに、大学生の就職状況が良く、無理に大変な勉強をして資格を取る必要はないという受験生心理も影響しているようだ。
情報分野など、理工系と比較して大きなトピックスがなく、受験生の関心を引きにくい農学系も志願者が減少しており、前年比96.5%。食や環境に関する重要な学問分野であり、志願者が増えてもおかしくない農学系にあって、倍率が上がらないのは、志望者にとって恵まれた年と言えよう。
私大の理工系で難化した大学が多かったことが19年度(19年4月入学)の特徴と言え、今後は、文高理低と一括りにできない状況になりそうだ。