2019年大学入試志願状況 ―国公立大は7年連続志願者減に歯止め 私立大は大手が人気ダウンでも4%の志願者増
志願者トップは4年連続で千葉大
25日から国公立大前期試験が始まる。志願者は469,836人、0.9%増で、7年連続志願者減に歯止めがかかった。国立大は微減だが、公立大が3.1%増。公立大が人気だった。
志願者増の要因としては、センター試験の平均点アップが大きい。河合塾によると、5教科6科目の平均点(900点満点換算)が文系で17点、理系で11点アップした。こういった時は受験生は強気になるが、やはり安全志向の意識が強く、難易度が低めの公立大の人気が高くなったと見られる。
今年の入試に失敗すると、来年はセンター試験最後の受験になる。2021年から始まる新しい「大学入学共通テスト」前年になるため、過去問もない大学入学共通テスト受検を避けるため、現役進学志向が今年以上に強くなると見られる。そうなると、安全志向が今年以上に強まり、入試が激化すると予測される。今年、確実に合格を勝ち取ることを考える受験生が多かったと思われる。
学部人気では、文、法、理、農が人気で、医学部をはじめとする医療系の人気が低かった。大学別では志願者は減ったものの千葉大が4年連続トップだった。
大手私立大で志願者減目立つ
私立大は安全志向が顕著となった。2月22日現在で、早慶上理(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)では、東京理科大を除いて志願者減だ。全体で昨年比2.9%減。MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)では2学部を新設した中央大を除いて志願者減で、昨年比3.9%減。日東駒専(日本大、東洋大、駒澤大、専修大)は駒澤大、専修大が志願者増で、昨年比8.6%減だ。関西の関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)は4校とも志願者減。愛知の5大学(愛知大、愛知学院大、中京大、南山大、名城大)もいずれも志願者減。ただ、これから入試があり、出願受け付け中の大学も多く、今後、志願者が増えると見られる。
このように上位校で志願者減が目立つのだが、私立大全体の志願者は4%増だ。大きく志願者を増やした大学を見ると、東京では武蔵野大、桜美林大、成蹊大、國學院大、立正大など。芝浦工業大、東京電機大、工学院大、千葉工業大など理工系大学の志願者もそろってアップした。関西では神戸学院大(兵庫)、摂南大、追手門学院大(以上、大阪)などだ。
少子化で18歳人口は減っているのに志願者が増えたのは、明らかに受験生が併願校を増やした結果だ。しかもセンター試験利用入試は9%以上志願者が増えており、志願者が減った大手の大学でも、センター試験利用入試は増えているところも少なくない。やはり、受験料が安く、各大学の入試対策を取らなくてもいいため、人気となったようだ。
昨年、進学校2000校にアンケートを取り、835校から回答があった。「今年の私立大入試にどのような対策をとるか」の問いに、「併願校を増やすよう指導」が59%、次に「センター利用入試の受験を勧める」29.2%、「推薦・AO入試の受験を勧める」23.7%だった。今年の入試はこの傾向にそった結果となった。推薦・AO入試の人気が高かったのも今年の入試の特徴だ。
また、大都市圏だけでなく、地方の大学の志願者が増えており、安全志向、地元志向が色濃い入試となった。定員厳格化の影響も大きかった。
学部別人気では情報系が大きく伸びた。AI時代を迎え、情報への関心が高いようだ。これが理工系大学の志願者増にもつながったと見られる。文系では国際、経営、法が人気で、理系では理工系、生命科学系が人気だった。経済、商、医療系が振るわない。国公立大とは異なる動きとなった。大学別志願者数では、近畿大が志願者減となったものの14万人近くで、6年連続志願者日本一となりそうだ。