国立大の学費は、入学金28万2千円、授業料53万5千円(文部科学省による標準額)。私立大は学部により異なり、入学金と授業料、設備費などを合計した初年度の学費は、商・経済・経営系で約130万円、理工系は約169万円(大学通信調べ)。
26年度は、物価の上昇にともない、山口大が地方の国立大では初めて学費値上げに踏み切る。私立大の学費も年々上昇が続き、諸費が高騰するなか、学費と生活費をすべて家計収入で賄える家庭ばかりではなく、学生の大半は奨学金やアルバイトで補っているのが実情だ。
利用者が最も多い奨学金は、国の奨学事業として日本学生支援機構(JASSO)が運営する制度で、貸与型と給付型がある。
貸与型は、大学卒業後に学生本人が返還しなければならない。無利子の第1種奨学金と有利子の第2種奨学金があり、ともに学力基準と家計基準の条件がある。第2種は、今年、利率が大きく上昇したが、保護者が借りる教育ローンの利率より低く、在学中は利子がつかない。近年は、新卒採用者の奨学金を「代理返還」する制度を設ける企業や自治体もあり、返還のハードルは下がってきた。
返還不要の給付型は、低所得世帯を対象とし、支援額は世帯年収により4段階に区分される。貸与型と合わせて利用することも可能だ。25年度からは多子世帯と理工農系進学者の所得条件が緩和された。給付型奨学生は、さらに入学金・授業料の減額・免除も受けることができる。
一方、各大学が独自に設けている奨学金制度は、給付型が多い。なかでも入学前に受給の可否が分かる制度は、進学資金に不安のある受験生のニーズを満たすものだろう。大学入学後も審査を経て4年間継続して受給できる制度も多いようだ。
入学前予約型奨学金は、出願前に申請し、世帯収入や高校の成績などにより奨学金の採用候補者を決定する。入試に合格し、入学手続きをすると正式に採用される。早稲田大、慶應義塾大、青山学院大、立教大、中央大、法政大などは1都3県以外の生徒、立命館大は2府4県以外の生徒が対象だ。関西学院大は地域制限がなく、明治大、関西大は世帯収入の基準を変えて地元出身者も受け入れる。入試成績優秀者が対象の制度や特待生・給費生入試などは、事前審査はなく、合格発表時に採用が通知される。
26年度は、東海大が全学部統一選抜(前期)で、成績上位者の学費を免除する制度を導入。京都橘大は一般選抜前期の特待制度を拡充する。
大学独自の奨学金には、在学生対象の制度も多い。創価大は、家計と成績の基準を満たせば全員が採用となる給付型の制度を新設する。家計急変者への支援をはじめ、留学支援や起業支援など、学生の経済力が学業の障壁とならないように、各大学で多様な支援体制の整備が進んでいる。
