東京科学大学開学、国立大は理系中心に定員増
学部新設は理系が中心、女子大も理工系学部が増加

入試 小松 栄美
東京科学大学開学、国立大は理系中心に定員増 学部新設は理系が中心、女子大も理工系学部が増加

25年度入試に関わる新設大学は、24年10月に設立された国立の東京科学大。東京工業大と東京医科歯科大という国内最高水準の研究力を誇る「指定国立大学法人」同士の統合だ。私立大は、通信制大学2校が開学する。

18歳人口が年々減少する中、24年度は私立大の59%が「定員割れ」を起こしていた。文部科学省では、23年から新設に関する基準を改正し、大学・学部等の設置認可を申請する際に、学生確保の見通しを記載した書類の提出を義務付けた。また、定員の5割以下しか学生がいない大学は、学部新設や定員増が認められない。25年度は、この基準による認可が行われた最初の年だ。私立大からの公立法人化を含め、昨年、一昨年は5校が新設され、毎年数校の大学が新設されてきたが、今後は大学の増加が緩やかになりそうだ。

学部・学科の新設は、情報分野を中心とする理工系や、看護など医療系のほか、環境、教育、共生、国際などに関わる分野などが多く、ここ数年傾向は変わらない。文部科学省は「大学・高専機能強化支援事業」により、既設学部を成長分野へ転換する学部再編や学部の新設を後押ししている。デジタル・グリーン分野を担う理系人材の育成を図ることがねらいだ。同事業は昨年から公募が始まり、24年度は日本女子大や明治学院大などがこの事業に選定され、理系学部を新設した。

25年度は、大妻女子大・データサイエンス、金沢工業大・情報理工/メディア情報/情報デザイン、愛知淑徳大・建築、日本福祉大・工、追手門学院大・理工、関西大・ビジネスデータサイエンス、武庫川女子大・環境共生、安田女子大・理工、松山大・情報などが、同事業の支援で誕生する。

女子大が多く含まれるのは、女子の志望が人文系や家政系から理工系、社会科学系へと広がっているためだ。こうした変化に応じた改編は近年の傾向のひとつで、東京女子大は経済経営、情報数理科などの学科を、神戸女学院大も生命環境学部を新設する。

国立大の学部新設は、岩手大・獣医、秋田大・総合環境理工/情報データ科、神戸大・システム情報などがある。

なお、先述の「大学・高専機能強化支援事業」には、情報系分野を対象とした高度情報専門人材の確保に向けた支援もあり、定員増を伴う体制強化を認めている。国立大は神戸大・システム情報のほか、筑波大、横浜国立大、名古屋大、大阪大など12大学がこの支援により定員を増やす。理系分野を中心に、25年度国立大入学定員は合計で326人増加する予定だ。