第一志望校を諦めなかった24年度入試
25年度から新学習指導要領に基づく入試がスタート
25年度から、新課程による入試が始まる。
まず、今春行われた24年度入試を振り返ってみよう。
大学入学共通テストの志願者数は約49万2千人で昨年比約4%減。18歳人口の減少により現役生が4%減ったが、現役志願率(高等学校卒業見込み者のうち共通テストに出願した者の割合)は45.2%と過去最高になった。一方、浪人生は過去最低を更新。受験率は0.5ポイントアップし、平均点は国立大型の多科目受験で文系、理系ともに上昇、国公立大受験の追い風になった。
国公立大一般選抜の志願者数は、昨年とほぼ同数の42万3千人。国立大は前期後期両日程で志願者数が増加した。
難関国立大は、東北大、東京大、一橋大、名古屋大、神戸大、九州大で志願者が増加。系統別では昨年志願者が減った文・人文系で増加が目立ち、このほか理学系、獣医学系、歯学系なども増加した。情報系は高い人気が継続している。
私立大は、併願校を増やす動きがあり、高校卒業予定者が減少しても全体では昨年並みとなった。都市部の難関私立大は全体で増加し、上智大、青山学院大、東洋大などの増加率が高かった。系統別では、文系は外国語系、国際関係系、法・政治学系など、理系は医学系、農学系、獣医学系などで増加した。
新課程に切り替わる前年は、強い安全志向がはたらくものだが、24年度入試では、志望を下げず、目指してきた志望校を受験した生徒が多かったようだ。
25年度入試は、新学習指導要領に対応した最初の入試だ。共通テストは経過措置がとられ、過去問がない現役生に対して、4年分の蓄積がある浪人生にはやや有利な状況だ。25年度から得点調整の実施条件が、受験者数1万人以上の科目で、同じ教科内での科目別平均点差が20点以上ある場合のほか、科目別平均点差が15点以上でも段階表示(スタナイン)区分内の点差が20点以上ある場合が追加される。新科目の「情報」は1万人未満でも得点調整の対象とされ、実施の可能性が高そうだ。
近年、導入する大学が増えている理工系の女子枠は、25年度も広がっていく。今秋「東京科学大」となる東京工業大は、総合型・学校推薦型選抜の女子枠を理学院、工学院にも設け、全学院に拡大。千葉大、神戸大、長崎大などでも新設され、26年度は京都大、大阪大が導入予定だ。
私立大は、年内入試の比率が高まっている。総合型や学校推薦型選抜は、新課程が目指す学びを評価する入試ともいえ、この傾向は続くだろう。年内に合格を決める生徒と、年が明けても勉強を続け国公立大や私立大の一般選抜に挑戦する生徒との二分化が進みそうだ。