24年度から国の修学支援新制度の対象が拡大
志望校を決めたら予約型奨学金を要チェック

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24年度から国の修学支援新制度の対象が拡大 志望校を決めたら予約型奨学金を要チェック

大学進学にはどれだけのお金がかかるのか。23年度入学者の初年度学費(学納金)は、国立大標準額が約82万円、公立大は約76万円(地域内)。私立大は学部系統によって差があり、社会科学系の平均額は約128万円、理工系では167万円。物価が高騰する中、都心部の大規模大を中心に学費は値上げ傾向にあり、24年度も上昇が見込まれる。通学や課外活動、書籍や娯楽、食費など生活費も必要で、これらを家計収入だけで賄える家庭ばかりではなく、大半の学生は奨学金やアルバイトで補っているのが実情だ。

奨学金の中で利用者が最も多いのは、国の奨学事業として日本学生支援機構(JASSO)が運営する制度だ。給付型と貸与型の2種類があり、約41%*の学生が利用している。給付型は「高等教育の修学支援新制度」と呼ばれ、世帯年収に応じて授業料の免除または減額と給付奨学金の両方が受けられる。利用者数は約24万5千人*。24年度より世帯年収の条件が緩和され、約600万円以下の「子どもが3人以上」または「私立大理工農系へ進学」する中間所得層に対象が拡大されることになった。一方、貸与型は約84万5千人*が利用しており、毎月一定額が貸与される。無利子・有利子の2タイプがあり、大学卒業後に全額を返還しなけらばならない。

JASSOのほかには自治体や企業の奨学基金などがある。条件を満たせば複数利用も可能だ。

大学独自の奨学金では、秋から一般選抜出願までの期間に入学前事前予約型奨学金を募集する大学が多い。世帯収入や高校の成績、居住地など、各大学が定めた条件を満たす生徒を対象として、書類審査により奨学金の採用候補者を決定する。入試に合格して入学手続きをすることで正式に採用され、給付奨学金を受け取れる仕組みだ。募集を秋に締め切る大学もあるため、進学資金に不安がある生徒は早めに調べておくとよい。24年度は東京工業大が既設のファーストジェネレーション枠、地方出身者枠に加え、女子学生枠を新設する。

入試成績上位者の学費を減免する制度や給費生・特待生入試を実施する大学も多い。大東文化大は、24年度から「桐門の翼奨学金試験」を新設する。従来の事前採用型奨学金は廃止するが、給付額が拡大する。

最後に、24年度からの学費に関する変更点を挙げておこう。

東京農工大は授業料を国立大標準額から20%引き上げる。一方で、東京都立大、大阪公立大、兵庫県立大、芸術文化観光専門職大が、条件付きや段階的導入としながらも、授業料等の無償化に踏み切る。私立大では、明海大・歯、朝日大・歯が授業料を50%引き下げ、日本歯科大・新潟生命歯は、授業料等の改定により6年間合計で1038万円の大幅引き下げを実施する予定だ。

*22年度大学在学者の利用実績