進化を遂げる女子大学―ジェンダーにとらわれない女性リーダーを育成

入試 小松 栄美
進化を遂げる女子大学―ジェンダーにとらわれない女性リーダーを育成

お茶の水女子大・共創工など理系学部が増加

女子大が共学の大学と異なるのは、「女性のため」の教育が行われていることだ。男性と女性が同じ場にいると、無意識のうちにジェンダーバイアスが生じることがある。学びやサークルなどすべての活動が女性のみの環境となる女子大では、男性の考えや存在に影響されることがない。女性が、女性の視点で課題発見・解決に取り組むことができる。

また、少人数教育を基本とし、学生一人ひとりに向き合い、学ぶ意欲を丁寧に伸ばしていくことも女子大の特徴だ。学びを通して自己肯定感を高め、社会へ羽ばたく自信をつけることができるのも、女子大ならではの教育成果といえるだろう。女子大で過ごす4年間は「女性」である前に、一人の人間として生き方を模索できる貴重な時間となるはずだ。

先月、「世界経済フォーラム」が公表した男女格差の国際比較「ジェンダーギャップ指数2023」によると、日本は昨年からさらに順位を落とし、過去最低の125位(146カ国中)となった。教育・健康・政治・経済の4分野の中でも、政治・経済分野における国会議員男女比、管理職男女比などのスコアが特に低く、女性リーダーが育ちにくい日本の特性が浮き彫りになった。リーダーシップの育成を掲げる大学は多いが、ジェンダーバイアスから解放された女性リーダーの育成は、女子大だからできる教育といえる。

女子大は、女性の自立や社会貢献などを教育理念に掲げ、専門職を養成する職業教育や、社会で活躍するための高い教養を身につけるリベラルアーツ教育に力を入れている。妊娠・出産など、男性にはないライフイベントが待ち受ける女性にとって、看護師や薬剤師、管理栄養士などの専門職は、再就職を視野に入れたライフプランが考えられるメリットがある。一方、リベラルアーツ教育は、知性と教養を身につけ、心豊かに生きることが目的だ。授業やゼミは少人数で行われ、アットホームな校風を特徴とする女子大も多い。女性の採用に意欲的な企業から求人が寄せられ、就職状況が良好なことも女子大の魅力のひとつとなっている。

さて、24年度の女子大の変更点をあげておこう。

女性の活躍の場が広がっていることもあり、ここ数年は理系学部の新設が続き、学部新設は多様な分野に広がっている。24年度はお茶の水女子大が共創工学部を、日本女子大が建築デザイン学部を開設。このほか実践女子大・国際学部、椙山女学園大・外国語学部・情報社会学部、京都光華女子大・看護福祉リハビリテーション学部、京都女子大・心理共生学部、神戸女学院大・国際学部・心理学部などが開設予定。また、北海道武蔵女子大・経営学部が開学予定だ。桜花学園大は男女共学となる。
※仮称・設置認可申請中・設置構想中を含む