系統別志願状況は「理高文低」、医療・情報の人気は続くか–受験人口減少と安全志向の間で実施される24年度入試

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系統別志願状況は「理高文低」、医療・情報の人気は続くか–受験人口減少と安全志向の間で実施される24年度入試

新型コロナウイルス感染症が5類へ移行し、文部科学省は、24年度の大学入試はコロナ前の形に戻すことを基本とするよう各大学に通知した。「新課程入試」移行を25年度に控え、来年度入試はどうなるのか。

まず、今春行われた23年度入試を振り返ってみよう。

1月に実施された大学入学共通テストは、志願者数約51万人で昨年比3%減。現役生が3%減少したのに対し、浪人生は7%減少し過去最少を更新した。共通テスト平均点は、昨年大きく下がった数学2科目が大幅に上昇、5教科の平均点は文系、理系ともにアップした。

国公立大一般選抜の志願者数は、昨年より1%減少した。難関大は、前期日程では東京工業大と一橋大、京都大で増加。コロナ下で止まっていた地域間の移動が再開し、都市部の大学が人気となった。系統別では、文系は経済・経営・商学系でやや増加し、語学・国際系の志願者減少が目立った。理系は医・歯・薬・看護などの医療関連系統や農・水産、理学系で増加した。人気が高かったのは情報系で、学部新設で注目が集まった一橋大・ソーシャル・データサイエンスは前期・後期とも高倍率になった。

「理高文低」の傾向は、私立大一般選抜も同様だ。文系は全体に低調で、理系は、医・歯学系と農・水産学系で増加した。

24年度入試は、25年度からの新課程入試を前に受験生に安全志向がはたらき、私立大では入学者の約6割が利用する総合型、学校推薦型選抜(年内入試)の志願者増加が予想される。ただ、今年の高3生は合計特殊出生率が過去最低の05年生まれが中心だ。現役主導の入試状況を考え合わせれば、不安材料にはならないだろう。

4年目となる共通テストは対策も立てやすい。国公立大の志願者は前年度に減った大学で増加する傾向があり、23年度に減少した旧帝大前期が人気を集めそうだ。

女子の理系進出も徐々に増えている。東京医科歯科大との統合を控える東京工業大は、総合型・学校推薦型選抜で女子枠を新設、名古屋工業大は学校推薦型選抜の女子枠を拡大する。お茶の水女子大・共創工の新設も女子の門戸を拡大する。理系学部が改革に力を入れる中、理高文低の傾向が続いている。

情報系の人気は継続し、国立大では宇都宮大や千葉大など、私立大では明治学院大など多数の大学が学部新設を予定している。

新型コロナウルス感染症の流行は今も終息していない。このほど公表された「令和6年度大学入学者選抜実施要項」には、一般的な注意事項として、流行状況を踏まえた感染症対策を行うことやオンライン試験などが明記され、一部の特例はなくなったものの、これまでのコロナ対応を生かして実施される。