一橋大が文理融合のソーシャル・データサイエンス学部を新設 プラスアルファの複合視点を備えた学際的な学部・学科が続々誕生
23年度は、私立大4校が新設される。いずれも専門職大学で、職業に直結した教育が特徴だ。そのひとつ、山形の電動モビリティシステム専門職大は、電気自動車と自動運転を集中的に学ぶ。変革期にある自動車業界のニーズに対応したものだ。
私立大の公立大学法人化もある。旭川市立大、旭川市立大短大部の2校で、旭川大・同短大部から移行する。
学部・学科新設は、理系を中心に、文理融合や学際分野が多い。なかでも目を引くのがデータサイエンスなどの情報系だ。
一橋大・ソーシャル・データサイエンスは、社会科学とデータサイエンス両分野の知見を融合した新たな学術領域のもと、現代社会における課題解決に挑んでいく。和歌山大・社会インフォマティクス学環は、経済、システム工、観光の各学科が連係し、地方自治やエネルギー、観光の各分野での専門性に加え、情報技術に強い人材の育成を目指す。
情報系の学部・学科開設を予定しているのは、ほかに名古屋市立大、東北学院大、亜細亜大、神奈川大、北里大、京都女子大など多数ある。情報、工、経営など学部も多様で、扱う分野はそれぞれに幅広い。例えば、名古屋市立大・データサイエンスは、IT、ビジネス、医療での応用を目指す。順天堂大・健康データサイエンスは、同大が蓄積してきた膨大な医療関連の知見を活用する。「情報」とひと括りにするのではなく、各大学が培ってきた得意分野とクロスさせた進化形となっていることに注目したい。
このほかには、医療・リハビリテーション、教育、環境、SDGs(持続可能な開発目標)に関する学部・学科の新設が多い。立命館アジア太平洋大では、サステイナビリティ観光を新設、「循環型地域社会の形成」と「観光による地域の開発・価値創造」の両面から社会課題を解決する人材を育成する。
23年度は新設のキーワードのひとつに、「デザイン」があげられる。美術や造形だけではなく、「もの」や「こと」を創出する意味でも用いられている。東北学院大・地域総合の政策デザイン学科は、共生社会の実現に向けて公・共・私の連携で政策を創造する力を養う。女子美術大・芸術の共創デザイン学科は、デザインを主軸にビジネスやテクノロジーを学びながら多様な人々と共に新しい価値を作り出す共創型リーダーシップを養っていく。東洋大・福祉社会デザインは、造形面の「ユニバーサルデザイン」をはじめ、これからの社会をデザインすることを目指す。
大学規模で改組を行うのは東北学院大だ。4学部5学科を新設して、9学部15学科になるとともに、仙台の都心部に五橋(いつつばし)キャンパスを開設。これまで3キャンパスに分かれていたが、全学部がひとつのキャンパスで学ぶようになる。