今春から難化した大学入学共通テスト
情報収集と分析・対策が入試突破のツールに

入試
今春から難化した大学入学共通テスト 情報収集と分析・対策が入試突破のツールに

22年度入試は、感染力が強いオミクロン株が広がる中、前年よりは落ち着いた環境で行われた。地元志向、安全志向は前年ほど強くはなく、地域を越えた受験も増加したようだ。23年度入試はどうなるのか。

まず、22年度入試を振り返ってみよう。

1月に実施された大学入学共通テストは、志願者数約53万人で昨年比0.9%減。現役の志願者数は0.1%減で、高等学校卒業見込み者全体の約2%減に対して減り幅は小さく、現役志願率は45.1%で過去最高を更新した。

平均点は数学Ⅰ・Aと生物で約20点下がり、5教科の合計点は約50点マイナスとなった。従来なら平均点が低下すると、国公立大2次試験で志望校のランクを下げたり、出願を諦める傾向が見られたが、22年度は国公立大の志願者数が3年ぶりに増加した。予備校の合否判定システムなどを利用して客観的な情報を収集し、冷静に2次試験の出願先を決めた生徒が多かったためだ。国立大は2次試験の配点ウエートが高い難関大を中心に、志願者が増加した。

一方、私立大でも、のべ志願者数が増加した。前年の一般選抜が14.5%の大幅減少となったこともあり、一昨年の水準には及ばないものの22年度はやや回復した。

学部系統別の志望動向は「理高文低」が続いた。不況時でも比較的就職がしやすい理工系や医療系学部の人気が高く、文系では公務員に向いている法学系で増加した。

この傾向は、23年度入試でも大きな変化はないと見られる。

3年目となる共通テストは、過去問をもとに対策が立てられる。22年は平均点が約5割と、前年の約6割から大幅にダウンしたが、共通テスト導入時の想定得点率はもともと5割とされており、レベルは維持されると考えられる。新しいタイプの問題が出題される可能性もあり、多様な形式に慣れておくとよいだろう。

コロナ禍やウクライナ情勢などを要因とする経済不況により、学部志望動向の理高文低は変わらず、家計の不安から国公立大の人気は継続し、浪人生の減少も続くと見られる。

なお、このほど文部科学省が各大学に通知した「令和5年度大学入学者選抜実施要項」には、受験生の不正行為には厳格に対応すること、試験当日の安全対策を強化することなどが新たに盛り込まれた。このほか、「多様な入試方法」の工夫として、入学者の多様性を確保するために、例えば「理工系等における女子」を対象とする入試などを行う「多様な背景を持った者を対象とする選抜」を取り入れることなども追加された。

さらに、23年度から私立大の「定員厳格化」の基準が、入学定員から総定員へと変更される。合格者の絞り込みが緩和すると見られ、私立大受験者には朗報だろう。