どうする? 国公立大学志望者の私立大学併願|中央大学
受験生に根強い人気のある国公立大学だが、後期試験を縮小・廃止などにより受験機会は減少傾向。現役進学にこだわる受験生ならば、私立大学との併願プランの立て方も重要な戦略になってくる。ここでは中央大学の入試制度を例として、12月から3月にかけての入試シーズンのスケジュールをおさらいしながら、より的確な併願プランの立て方を考えてみよう。
国公私立を問わず、各大学において魅力的な取り組みや教育活動が展開されている中で、国公立大学は依然として人気が高い。その背景には、学費の安さや、受験生の地元志向などがある。
国公立大学は受験機会が限られているので、現役進学にこだわる場合、私立大学を併願する必要がある。私立大学は国公立大学と異なり、多様な入試方式を用意している大学が多い。受験生によっては合格しやすい方式や負担の少ない方式が見つかる可能性もあるので、よく確認しておいてほしい。
12月から3月までの受験生の動き
12月から3月にかけての入試シーズンの動きを表に示した。受験勉強や体調管理以外にも、受験生がやらなければならないことは数多くある。
まず、上位志望となる国公立大学の受験校は、遅くとも12月までには確定しておく必要がある。センター試験の結果によって出願大学を変更することも考慮に入れながら、日程毎に出願予定校を選定しておこう。併せて、私立大学の出願準備を進めていく。受験校の選定、願書や写真、調査書の手配などだ。直前になって慌てないように、早めに準備をしておく方がよいだろう。
1月には私立大学の出願がスタート。センター利用入試はセンター試験実施前に出願を締め切るケースが多い。
1月19日(土)・20日(日)のセンター試験後から2月中旬にかけての一ヵ月間は国公立大学の2次試験対策の総まとめを行う追い込みの時期だ。同時に私立大学の併願校への出願・入試時期にもなっている。
2月下旬に国公立大学の前期日程、3月に中期・後期日程の受験となる。これらと並行して私立大学の入学手続きや延納手続等を行う必要がある。複雑な作業となるので、事前に各自の入試カレンダーを綿密につくり込んでおくことが必須となる。
私立大学の多彩な入試制度 中央大学の事例
私立大学の試験期間は、上位志望である国公立大学の2次試験対策の総まとめ時期と重なるので、当該時期をどのように過ごすかが大きな課題となる。私立大学は志願者獲得の観点から、国公立大学志願者にとって併願しやすい制度を整えているケースも多い。その一例として、司法試験や公認会計士試験、国家公務員試験等の合格者実績の高さから、難関国公立大学の併願校として選ばれることの多い中央大学の入試制度の特徴を紹介する。
①多種多様なセンター利用入試
中央大学は全学部においてセンター利用入試を実施している。判定方法としては、センター試験の得点のみで合否判定を行う「単独方式」と、センター試験の得点と中央大学の課す個別試験の得点を組み合わせて合否判定を行う「併用方式」の2種類が用意されている。「単独方式」については、中央大学の試験を受験する必要がなく、センター試験の得点のみで合否判定が行われる。前期選考については2月中旬までに合格発表があることから、その後の計画が立てやすくなる。
また、多くの学部において国公立大学との併願者を意識した4科目以上の科目を課した試験方式を設けている。国公立大学を上位志望とし「5教科7科目」の受験準備を行ってきた受験生には受験しやすい試験方式といえるだろう。また、センター試験で特定の科目を失敗したという受験生にとっても「併用方式」を活用し、個別試験を受験することによって挽回の余地が残されていることも心強い。
②受験料割引措置
一般入試(3万5千円)と同時出願することによりセンター併用方式( 1 万9 千円)、センター単独方式(1万5千円)の受験料を免除する措置がある。法学部の場合、一般入試1つの受験料のみ(3万5千円)で①一般入試4教科型②一般入試3教科型③センター併用方式④センター単独方式5教科型⑤センター単独方式3教科型の5つの試験に出願することができる。この場合の割引額の合計は8万4千円で、経済的負担が格段に軽減される。
③全国17の都市から選択できる試験会場
地方の受験生にとって、国公立大学2次試験対策の追い込みの時期である2月上旬~中旬に、私立大学を受験するために自宅を離れることは、経済的にも時間的にも大きな負担となる。そこで中央大学では、北は札幌から南は那覇まで、全国17都市に18の試験会場を設定。都内の大学キャンパスまで赴くことなく、近隣の都市で受験できることは受験生にとって非常に効率的であると同時に、普段通りの実力を発揮しやすいというメリットも生まれる。
④「メリットいっぱい」の統一入試
国公立大学を上位志望とする受験生にとって、私立大学の受験で多くの日程を費やすことは、2次試験に向けての対策時間を削ることにもなる。「統一入試」は法・経済・商・文・総合政策・国際経営の6学部を同一日に同じ試験問題で受験できる「効率的」とも言える試験だ。しかも法学部、文学部、総合政策学部においては学科・専攻について「志望順位制」が採用されており、仮に第1志望の学科・専攻の合格最低点に達していなくても第2志望以下の学科・専攻の合格最低点に達していれば合格になる受験生に「優しい」制度ともいえる。また、商学部においては「フリーメジャー・コース」の適用対象となり、入学手続き時に進学する学科を選択できて、2年進級時には他学科に変更することもできるという学修意欲の流動性にも対応したコースに入学することができる。複数学部の受験も選考料の割引制度(1つめは35,000円、2つめ以降は15,000円に割引)が設けられており、まさに「効率的」な試験制度だ。
ここまでみてきたように、中央大学では国公立大学志望者にとって併願しやすい入試制度を整備している。このねらいについて、中央大学の学生募集担当者に聞いた。「大学入学後の学修活動、就職活動時の採用試験等への対応を考えても、高等学校において多数科目をしっかり学修してくることが望ましいです。現行の一般入試は3教科を中心とした入学者選抜となりますが、とりわけ公務員試験を受験する学生が多い本学にあっては『数的推理』に対応する基礎学力は必須です。法曹を目指す場合も論理的思考力が求められ、これは高等学校における広範囲の基礎学修が大切になります。国公立大学との併願者を積極的に採り込むことは本学の特長をより追及する上で重要な事項なのです」。
中央大学は、従前から国公立大学との併願者が多く、関東の大学の中では非首都圏出身の入学者の比率の高い「全国型大学」と言われてきた。その背景にはここまで紹介したような入試戦略が奏功していると考えられる。
私立大学では各大学が入試戦略に応じて、特色のある入試制度を整備している。自分にあった入試方式を見つけて併願校の合格を確保し、本命となる国公立大学の2次試験に挑んでほしい。