今週末に大学入学共通テスト実施
導入2年目、私立大志望者も積極的に活用か
15、16日に大学入学共通テストが実施される。昨年は初めての導入とあって、志願者数は4%減少(一昨年は1%減)、受験率も90%(一昨年は95%)と消極的だったが、2年目となる今年は、積極活用が見込まれる。
共通テストの志願者数は、53万367人。高等学校新規卒業見込み者が2%減少するにもかかわらず、現役受験者は0.1%減とほぼ昨年並み、一方で浪人生は5%減少した。志願者に現役生が占める比率は85%と過去最高だ。また、高等学校卒業見込み者のうち共通テストに出願した者の割合(現役志願率)も45%と過去最高を更新した。
大手予備校によると、22年度入試はコロナ禍の影響による家計不安から、学費の安い国公立大の志望者が増加傾向となっている。学部別では「理高文低」で、医療や獣医などの難関資格取得を目指す学部や、情報・通信などを中心に理学部・工学部の人気が高い。文系では就職に強い法学部などが増加傾向にあり、コロナ禍で関連業界が振るわない国際系などでは減少している。
昨年の国公立大入試は遠距離の移動が敬遠され、地方から大都市圏の大学を目指す動きが活発ではなかった。現在、急速に感染が拡大しているオミクロン株は、軽症者が多いとの報道もあり、この流れも変わるかもしれない。
旧帝大をはじめとする難関大の志望者増加も目立ち、共通テスト前の状況では、強気の志望動向がうかがえる。
ただ、最近は現役進学へのこだわりから、超安全志向が主流だ。
昨年の共通テストは、主要教科の数学の平均点が上がり、想定された得点率の5割を上回る平均点になった。2年目の今年は、数学の難化は必至で、他の教科も当初の想定に近い得点率となるよう難化するとみられる。平均点が下がると、慎重になるのが受験生心理だ。模試での志望通りの出願になるかどうかは、共通テストの結果次第といえるだろう。
私立大は、個別試験を行う一般入試の志望者が減少しているのに対して、共通テスト利用入試の志望者が大きく増えているという。2年目を迎えて心理的な負担が軽くなり、コロナ対策として活用されそうだ。
なお、文部科学省は11日、新型コロナウイルス感染症の影響により大学入学共通テストや個別学力検査に出願したにもかかわらず受験ができなかった受験生がでた場合、受験機会を確保するように全国の国公私立大へ要請した。共通テストを課す大学は、追試験の実施日(29、30日)までに、情報提供窓口の設置などの相談体制が設けられる。