国公立大の志願者数は昨年比4%減
難関国立大の人気復活で、国立大離れに歯止め?

入試 小松 栄美
国公立大の志願者数は昨年比4%減 難関国立大の人気復活で、国立大離れに歯止め?

国公立大二次試験の出願が5日に締め切られ、志願状況が公表された。

2次試験の志願者数は国公立大を合計して40万649人で、前年同時期のデータと比べて4.0%の減少だ。国立大は志願者数28万545人(4.4%減)、志願倍率は3.7倍。公立大は12万57人(2.9%減)、志願倍率は5.4倍。21年度も減少となったが、大学入学共通テストの志願者数の減少と同じ割合で、受験生は最後まで国公立大にこだわったといえよう。後期日程に限ると、国立大は志願者が減ってはいるが募集人員も減っているため志願倍率は0.1ポイントアップ、公立大は志願者が3.6%増え倍率も0.7ポイントアップした。

主要国立大の志願状況を見てみよう。旧7帝大(北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大)の志願者数を昨年と比較すると、4校で増加した。

大阪大と九州大で、いずれも5.4%増加し、名古屋大は3.5%増、東北大は0.2%の増加だ。共通テストの平均点が、予想されていた「5割」を上回る6割程度と高く、2教科で得点調整が行われたこともあり、積極的な挑戦ができたためだろう。それと、コロナ禍の影響で地元志向が高まった影響とみられる。

逆に全国区型の東京大が2.6%、京都大が3.6%減少、北海道大が11.6%減少した。東京大は理一、文三で増加し、理二は増減なし。社会科学系の文一、文二、医学系の理三で減少した。京都大も法、経済の減少が目立った。コロナ禍による景気の落ち込みから文系学部の人気が下がったことや、21年度の高大接続改革を意識して、浪人生が減ったことも要因といえよう。

国公立大の学部系統別志願状況は、文系の減少が目立つ。「理高文低」が鮮明になった。国立、公立ともに増加した系統は薬・看護系で、6.7%増加した。公立大は医・歯系が10.0%増加した。理工系、農・水産系は3%台の減少だが、人文・社会系は、国立大が7.4%減、公立大9.8%減と減り幅が大きい。

最後に、コロナ禍で入試を変更する国公立大を挙げておこう。

個別学力検査を中止するのは、国立は宇都宮大(前・後)、横浜国立大(前・後、教育を除く)、信州大(前、人文・経法のみ)、公立は山陽小野田市立山口東京理科大(前・工のみ、中・全学部)、高知県立大(前・後、健康栄養を除く)など。名桜大(前・後)は、遠隔受験の小論文、面接などに変更した。個別学力検査を中止した大学は、いずれも志願者が大きく減少。横浜国立大、名桜大はほぼ半減した。2次対策が不要の大学は、かえって人気が下がったようだ。