コロナ禍の2021年入試
予想を覆し平均点が上がった共通テスト
初実施となった共通テストは、11都府県に緊急事態宣言が再発令されるコロナ禍の中で実施された。共通テストは大学入試改革の目玉として、センター試験の後継としてスタート。今年は厳重な新型コロナ感染症対策の中で無事に終了した。
コロナ禍の影響を受け、センター試験は2回実施だったのが3回に増えた。1月16、17日の本試験を第一日程、1月30、31日に第二日程の試験日を設けた。第二日程は第一日程の追試を兼ねる。3カ月近くに及ぶ学校の休校期間があったため、学業遅れがあった高校生のために第二日程を設けた。
今年の共通テストの志願者数は53万5245人で、昨年の最後のセンター試験志願者と比べて4%減、2万人を超える過去最高の減少となった。特に浪人生が2割近く減った。今年度からの入試改革を敬遠し、昨年の内に進学してしまい、浪人生が減ったからだ。現役生は少子化分の0.5%減にとどまった。
その中で第二日程を志望したのは、わずか718人で、全体の0.13%に過ぎなかった。学業遅れを取り返した学校が多かったこと。1月30日、31日は関西の人気大の近畿大や龍谷大が入試を実施し、2月1日からは本格的に私立大入試が始まるため、連続受験となることもあって敬遠されたと見られる。また、第一日程を受けられずに第二日程に回ったのは1729人にとどまった。新型コロナウイルス感染者も少なく抑えられた。
一方、新傾向となった共通テストだが、問題文が長文になった。数学Ⅰ・Aは昨年より8ページ、数学Ⅱ・Bは4ページ増で、他でも世界史B、「倫理、政治・経済」などでも問題文が増えている。読解力が求められる問題になったと見られる。ただ、初実施となった共通テストの第一日程では、31年続いたセンター試験で、わずか2回しか実施されなかった得点調整が、公民と理科②の2教科で実施されたのだ。得点調整は、各科目の平均点差が20点以上になった場合に実施される。点数が低かった科目に、いわゆる下駄をはかせて得点をかさ上げする。得点調整後では、対象となった科目は昨年より平均点アップに変わった。初めての実施ということで、出題が手探りだったこともあって、各科目にばらつきが出たようだ。
また、今年の共通テストは意外に高得点だった。平均点は下がると見られていたが、アップしている科目が多かった。得点調整後で見ると、入試で主に採用される主要科目で平均点が下がったのは、国語、日本史B、地理B、化学基礎、生物基礎、英語リスニングの6科目だけだった。それ以外はすべてアップした。センターから公表されない5教科7科目の平均点も文系、理系ともアップしていると見られる。この結果を受け、受験生は国公立大に強気の出願になったようだ。
一方、第二日程試験の平均点の中間発表があった。主要科目の平均点は、いずれも第一日程を下回る結果となった。
今年は難化の予想を覆し、共通テストの平均点が上がった。平成2年の第1回のセンター試験の翌年は、平均点が下がった科目が多かった。特に数学Ⅰ(今でいう数学Ⅰ・A)は20点以上も平均点が下がった。2年目ともなると、しっかりと受験生の学力を把握しながら出題できるため、問題が難化するのだろう。来年の共通テストも今年より平均点は下がりそうだ。来年の日程についてはセンター試験と同様、本試験と1週間後の追試験の実施を予定している。ただ、これも新型コロナ感染拡大でどうなるかは不透明なところもある。今年のように3回になる可能性もないわけではなさそうだ。これからの情報にも注意を払いたい。