私立大前期入試、難関校を中心に志願者は減少
共通テスト利用型の新規導入校でやや増加の傾向
私立大学の一般入試が始まった。高大接続改革に加え、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、受験生の動きは慎重だ。
私立大前期一般入試の志願状況を見ていこう(大学入学共通テスト利用方式を含む。*は集計中。2月2日判明分)。
首都圏の難関大では、志願者減少が目立つ。慶應義塾大が5%減、早稲田大*は12%減、上智大は微増だった。上智大は新たに導入した共通テスト利用型が人気を集めたが、従来方式のみで比較すると20%減っている。
MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)では、立教大が7%増えたほかは、明治大(前期)*4%減、中央大(前期)9%減、法政大*14%減、青山学院大*34%減といずれも減少した。青山学院大は、全学部日程が7%増と人気だが、共通テストは15%減、一部共通テストと独自問題を併用する個別学部日程は、集計中とはいえ現時点で40数%の減少となっている。独自問題は総合問題や論述が出題され、他大との併願がしにくいことから敬遠されたとみられる。
このほか、志願者が増加した大学は、学習院大1%増、駒澤大*3%増など。学習院大は共通テスト利用入試を新規導入し、志願倍率は39倍になった。
難関大の志願者が減ったのは根強い安全志向も原因だが、コロナ禍で地方から首都圏を目指す受験生が減ったことや、受験校を絞り込み、併願校を減らしていることなどが考えられる。また、大学入学共通テストは、昨年までの大学入学センター試験よりも平均点が低く設定されていたため、出願締め切りが共通テスト前の方式には、積極的に出願できなかったこともあると見られる。
近畿圏は、関西学院大(前期)は2%増、関西大(前期)が2%減、同志社大*12%減、立命館大(前期)21%減。関西学院大は、理系学部の改編で人気が集まり、理系新設4学部で77%増と大幅に増えた。このほかで増加したのは龍谷大(前期)12%増、大阪産業大(前期)*33%増など。大阪産業大は受験料を免除した大学入学共通テストプラス方式の大幅増によるものだ。
近畿圏でも難関大は敬遠される傾向のようだ。
2月2日までの判明分で、志願者数が10万人を超えたのは、近畿大1校のみで約11万9500人。2位は明治大約9万9千人、3位は早稲田大の約9万1600人。最終的な志願者数は後期入試の出願受付後に確定するが、21年も近畿大が8年連続志願者数トップになりそうだ。