コロナ禍で活用が広がる大学入学共通テスト
21年の大学入学共通テストは、大学入試センター試験から制度が移行することに加え、新型コロナウイルス感染症の流行下で行われる。
従って試験は、文部科学省による予防対策のガイドラインに基づいて実施される。例えば、座席間の距離の確保や、机・いすの事前消毒、当日は試験室にアルコール製剤を配置し、マスク着用(未所持者にはマスクを提供)、1科目終了ごとに10分以上の換気などを行うことが定められている。さらに生徒自身の健康管理のために「健康観察記録」も配布された。もし、試験場で急な発熱・咳や体調不良に見舞われても、別室受験や追試験の受験申請が可能だ。追試験を選択する場合は、会場で申請し、追試験受験許可書を受け取って帰宅する。
例年の実施日程である16日・17日に加え、出願時に選択する第2日程の30日・31日、特例追試の2月13日・14日と3つの日程を設定しているのもコロナ禍での配慮のひとつだ。
共通テストは、コロナ禍において利用がさらに拡大している。横浜国立大は、早い時期に個別試験を行わず共通テストと受験生の提出資料で合否判定を行うことを公表した。その他の国公立大でも、罹患により受験できなかった生徒のために追試験を設定し、主に共通テストで合否判定を行うところが多い。
私立大では、難関大で共通テストを活用する動きが目立つ。上智大や学習院大は、新たに共通テスト利用入試を導入。早稲田大は一部の学部で共通テスト受験を必須化。青山学院大は共通テストを併用した入試へと改革を進め、立教大は英語の独自試験を撤廃し、外部試験または共通テストの英語を利用する入試へと変わる(一部学部を除く)。コロナ罹患による欠席者に対しては、早稲田大、明治大、中央大などが共通テストで判定する特別措置を設ける。また、共通テストだけで合否を決める入試方式を設ける大学も多い。人気の高まりと合格者の絞り込みにより近年難化し、昨年は敬遠されて志願者がやや減った。今年は試験場への移動に伴う感染リスクを軽減する切り札として、人気上昇中だ。
文部科学省では、緊急事態宣言が発令されても入試は予定通り実施するとしている。一般入試が本格化する2月の感染状況は分からないからこそ、全力で共通テストに臨みたい。