大学入学共通テストの志願者数発表
浪人志願者が大幅に減少、現役志願率はアップ

入試 小松 栄美
大学入学共通テストの志願者数発表 浪人志願者が大幅に減少、現役志願率はアップ

写真=関西学院大学の昨年度の入試風景

21年1月16日・17日および1月30日・31日に実施される大学入学共通テストの志願者数が、独立行政法人大学入試センターから発表された。

志願者数は53万5245人で、前年(大学入試センター試験)と比べ2万2454人減少した。3年連続の減少だ。減少率は4.0%と、前年の3.3%減と比べても、さらに大きく、過去最大の減少となった。

減少の理由は、新入試への切り替え初年度であるためだ。とくに浪人生(高等学校卒業者)の減少が著しく、19.3%減。志願者数は8万1007人。制度変更は浪人生には不利ととらえられ、前年の入試で強い現役志向がはたらいたからだ。過去にも学習指導要領の改訂に伴う入試変更の際、浪人生が大幅に減ったが、ここまで大きく減ったのは初めてだ。

一方、現役志願者数は、対前年度で0.5%減と前年並み。現役志願率(高等学校卒業見込み者のうち、共通テストに出願した者の割合)は44.3%と、前年度を1.0ポイント上回った。現役進学志向が定着し、AOや推薦の志願者が増加しているが、人気の高まりから倍率も上がっている。AOや推薦に合格できなかった場合に備えて、共通テストに出願した層がいることも現役志願率上昇の一因だろう。

日程別では、16日・17日の志願者数が99.9%を占めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う学業の遅れに対応するために設けられた30日・31日の志願者は0.1%。同日は、16日・17日に出願したが疾病や負傷などにより受験できない者の追試験日でもある。第二の本試験日として設定されたことで、例年なら全国2カ所しかない追試験場が、全都道府県に設定されることになった。30日・31日の追試験は、特例追試験として2月に行われ、出題科目や時間割が本試験とは異なるものになる。

また、21年度入試は、コロナ禍の大きな影響下で実施される。

20年度入試では3月入試が感染拡大の影響で中止されるケースがあった。国公立大でも北海道大などが後期日程を中止し、個別試験を実施せず、主にセンター試験の得点を利用して合否判定を行った。

大学に出向くことなく判定が受けられる私立大の共通テスト利用方式はもちろん、今後の感染状況によっては、国公立大でも個別試験の代替となることが考えられる。共通テストの成績は、幅広い活用が見込まれる。志願者数は減ったとはいえ、受験率は高くなりそうだ。