2020年入試は安全志向が強く、国公私立大ともに受験生の出願は消極的
前期日程の志願者数1位は近畿大、2位に日本大
国公立大の前期日程試験が25日からスタートする。20年の志願者数は、41万7283人(国立大29万3599人、公立大12万3684人/2月5日現在)。前年の出願締切日の人数と比べ5.7%減り、志願倍率は国立大3.8倍(0.4ポイント減)、公立大4.2倍(0.7ポイント減)に下がった。
国公立大志願者が大きく減少したのは、大学入試センター試験の平均点が主要教科で下がったためだ。20年のセンター試験では、平均点(100点満点換算)が数学Ⅰ・数学Aで8点、数学Ⅱ・数学Bで4点、英語(筆記)で4点、国語で1点それぞれ下がり、英語リスニング(50点満点)も5点下がった。来年はセンター試験が大学入学共通テストに代わることから、受験生の安全志向が例年以上に強く、国公立大をあきらめる生徒も少なくなかったようだ。
系統別増減を見ると、国立大は志願者数が増えた系統はなく、減少率の最も低い理工系で2%減、最も高い教員養成系が10%減など、10%以内の幅で減少した。公立大は、理工系7%増、農・水産系3%増と、理系で増加した半面、医・歯系25%減、人文・社会系9%減と系統によって差が開いた。国立大最難関の旧7帝大も志願者数が減少したが、大阪大は1%減、東京大は2%減、京都大、九州大は4%減と、減少率の小さい大学も多い。
一方、私立大は「定員厳格化」による難化と受験生の安全志向を背景に、年々志願者数が増加していたのが、20年は難関校を中心に各大学で減少が目立った。一般入試で多数併願するよりも、推薦やAO入試で合格を得ようとする受験生が多かったからだ。
私立大の志願状況(2月18日までの確定分)を見ると、センター試験利用入試は昨年比13%減。首都圏では、早稲田大のほかMARCH、東京理科大などの著名大学で13~20%と大きく減った。一般入試はセンター利用入試よりも減少率がやや低く、早慶上理やMARCHでは、いずれも5%以内の減少。青山学院大のみ、僅かに増加した。西日本の関関同立は、立命館大が大きく増加。関西大、関西学院大、同志社大はいずれも減少した。
私立大の系統別状況(確定分)は、理工系(2%増)、農学系(5%増)、芸術系(5%増)などが人気だ。減少が目立つのは医(17%減)、歯(26%減)や、経営、経済、法など。
19日時点で志願者数が10万人を超えたのは、多い順に近畿大、日本大、早稲田大、法政大、明治大の5大学。近畿大、日本大、明治大は後期の出願を受け付け中だが、1位の近畿大と2位の日本大とは2万2千人以上の差がある。20年も近畿大の志願者数トップは確実だ。