私立大が14年ぶりに志願者減となりそうなワケ
40年間一度もなかった早慶上理、MARCHすべて志願者減
2016年から始まった定員厳格化の影響で、難関私立大は入りにくくなり、志願者は増えるは合格者は減るはで、倍率は高止まりしていた。昨年、難関私立大の志願者は減少に転じたが、今年はさらに減った。
今年の入試は超安全志向となって、難関大を中心に昨年に比べて大きく志願者減になっている。現在のところ、主要100私立大の志願者合計で昨年に比べて7%減だ。昨年が全体で約5%増だから、今までになかった減少だ。この分でいくと、今年は14年ぶりに私立大志願者は減少するかもしれない。
なかでも首都圏の有力私立大である早慶上理(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)が、すべて志願者減となっている。これはこの40年間、一度もなかったことだ。これほどまでに志願者が減少するとは予測されていなかった。表にあるように、この段階で昨年を上回っているのは立命館大だけだ。まだ出願を締め切っていない方式もあるが、もっとも多い募集の2月試験でこれだけ減っていると、最終的に昨年を上回るのは厳しくなってくる。既に志願者数が確定している大学もある。
一方、現段階で志願者が昨年を上回っているのは、日本大、拓殖大、東京工科大、神奈川大、関東学院大、武庫川女子大、岡山理科大、福岡大などだ。
特に減っているのがセンター試験利用入試
来年からセンター試験に代わって大学入学共通テストが始まる。大学入試改革の前年は、受験生の不安から私立大の併願を増やし、その結果、私立大志願者は増えるケースが多かった。ところが、今年は打って変わって減少となりそうだ。
もともと、今年の入試は超安全志向と予測されてはいた。大学入学共通テストで民間英語試験、国語と数学で記述式が課されるなど、浪人すると、受験生の負担は大きくなるため現役進学志向が強かった。従って最初から安全な志望校選びとなっていた。さらに、より確実に合格するため、推薦入試やAO入試などを利用した受験生も多かったと見られる。それに少子化も加わり、センター試験志願者は前年に比べ1万9131人、3.3%減となった。これはセンター試験史上、最大の下げ幅となった。最後のセンター試験で最大に志願者が減ったことになる。
これだけ減ったのは、受験生が私立大のセンター試験利用入試を諦めたということではないだろうか。センター試験利用入試は、現在のところ10%以上志願者が減っている。一般入試は3%減ほどだから、減少ぶりのひどさが分かろう。私立大のセンター試験利用入試は、受験料の安さから併願校を増やすのにもってこいの入試方式だった。しかし、合格最低点が8割などの大学もざらで、なかなか合格できない。そこでセンター試験利用入試受験を諦め、センター試験すらも受けず、3教科型に絞った受験生が多かったと見られる。
今年のセンター試験は来年から始まる大学入学共通テストの先取り出題もあり難化した。大学入試センターから発表された各科目の平均点は英数国の主要3教科すべてが平均点ダウンだった。センターから発表されない5教科7科目(900点満点)の平均点は、大手予備校の河合塾調べによると、文系で21点ダウンの548点、理系で18点ダウンの553点だ。この下げ幅を見ると、センター試験利用入試を使わない受験作戦は、成功したといえそうだ。