私立大一般入試は難関校が敬遠され、より安全校を求める下方展開に
英語資格検定利用入試では志願者増加の傾向
私立大学の一般入試が始まった。定員厳格化による私立大の難化や、来年からの高大接続改革の影響を受け、20年の私立大出願は、強い安全志向がはたらいている。
4日までに出願を締め切った私立大前期一般入試(センター試験利用入試を含む。*は集計中、2月5日判明分)の志願状況を見ていこう。
首都圏では、早稲田大6%減、慶應義塾大8%減、上智大6%減で、昨年に続き減少した。MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)では、中央大7%減、立教大11%減、青山学院大*5%減、法政大*11%減、明治大*8%減と、いずれも減少した。
高校卒業見込み者数は、昨年比約1万4千人、1.3%減、年々強まる安全志向から浪人生も減っており、志願者数の減少は、受験人口が減っていることも一因だ。それに加えて、現役生は推薦入試やAO入試にシフトし、一般入試が始まる前に合格を決めていたことも考えられる。
昨年より20%以上減少している大学は、駒澤大、成城大、津田塾大、東洋大*、明治学院大*、獨協大*、亜細亜大*など。一方、志願者が増えた大学は、日本大、拓殖大*、東京工科大*、関東学院大*、日本工業大、神奈川大、桜美林大、白百合女子大など。理工系は情報系の学部が人気だ。大規模大では、東洋大と東海大で減少したのに対し、昨年大きく減った日本大が16%増となった。
安全志向が年々強まる中、20年入試は、チャレンジをせず、より合格確実な大学を求めて併願校を選んでいると見られ、とくに「早慶上理」「MARCH」などと分類される有名大が敬遠されたようだ。
難関大は、大学全体では減少が目立つものの、入試方式によっては増加の傾向も見られる。高大接続改革では見送られることになった英語資格・検定等を利用した方式は、早稲田大23%増、上智大1%増、中央大11%増、法政大21%増。利用学部を拡大した明治大では107%増と大きく増えた。
近畿圏の関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)は、立命館大で7%志願者が増えたものの、関西大(8%減)、関西学院大(14%減)、同志社大(7%減)は減少した。
4日までの判明分で志願者数が10万人を超えたのは、多い順に近畿大、早稲田大、法政大、明治大、日本大の5校だ。近畿大は11万人を突破し、残る4校は10万数千人。最終的な志願者数は、後期入試の出願受付終了後に確定するが、20年も近畿大の志願者数トップはほぼ確実だ。